祖母世代と現代ママ世代とで、子育てに対する考え方が違うというケースは少なくない。そこで女性セブン読者から寄せられた子育てに関する悩みに対し、川崎医療福祉大学医療福祉学部特任教授で、子供への接し方を優しく説いた著書『子どもへのまなざし』(福音館書店)がロングセラーとなっている児童精神科医の佐々木正美さんがアドバイスをする、
静岡県在住の女性Tさん(68才)は、最近の子育てへ戸惑いを感じているという。
「うちの孫は4才ですが、ピアノに水泳、英語と、たくさんの習い事に通わせています。小さいうちから勉強ばかりさせなくてもいいんじゃないかと言うんですが、嫁は『あとで子供が苦労する』と取り合ってくれません」(Tさん)
ベネッセ教育総合研究所による子育て生活基本調査(幼児版2008年)によると、首都圏の幼稚園児の67.7%が園外教育機関を利用しているという。佐々木さんは言う。
「講演会で、『自分の子供がどう育ってほしいですか?』と聞くと、勉強ができる子になってほしいという意見が多数を占めます。早期教育も、子供にさまざまな機会を与えるという意味では、悪いことではないと思います。ただし、親の満足感のためなら、やらせる必要はありません。
早くから教育を始めたからといって、知能が高くなるかどうかは偶然だと思います。それよりも、幼児期の子供に必要なものは、望みを充分に満たしてあげることと、子供同士を遊ばせ、社会性を身につけさせることなんです」
さらにこうも付け加える。
「世代間ギャップを否定する必要はありません。子供はさまざまな価値観の中で生かしていくのがいいんです。どの価値観にも長所短所があり、人は違って当たり前。それを受け入れることが大切です」(佐々木さん)
※女性セブン2014年11月20日号