100円ショップ(写真提供/イメージマート)
いまや日本人の日常生活に欠かせない存在となっている100円ショップは、2023年に市場規模が1兆円を超えている(帝国データバンク調べ)。しかし最近では100円ショップとはいえ「百均」ではなく200円、300円、500円、ときには1000円と100円ではない商品の販売も増えている。人々の生活と社会の変化を記録する作家の日野百草氏が、円安や物価高騰のなか100円ショップはどんな変容を迫られているのか、レポートする。(文中・すべて税抜き表記)
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「100円の商品か、昔に比べれば少なくなったね。100円より高い商品が大半だよ。100円ショップであって、100円均一ショップじゃないからね」
南関東の100円ショップ、長く個人店として営んできた店主の言う通り、100円でない商品が多く並ぶ光景は普通の生活雑貨店と言ってもいい。
店頭に「100円」の文字はあるが、ほとんどがそれより高額。しかし100円のものがあるのでまったく問題ない。つまり100円「もある」ショップということだ。いまやほとんどの100円ショップはそうだろう。
ひと昔前までは文字通りの100円均一、かつての呼称の名残りである純然たる「百均」はほぼ消えた。2000年代は99円ショップなんてのもあったが、これはとうの昔に消滅した。大手ではセリアのみ、その「百均」を死守している(後述)。
「100円にみんな慣れちゃって、値札も見ずになんでも100円と思っちゃうんだろうね、いまだにレジで驚かれることもあるよ。『え、100円じゃなかったの』って」
客の頭の中が100円だから100円にするしかない
振り返れば、失われた30年の代表格のひとつが「デフレマインド」であった。
いまから約30年前、1995年4月の円は1ドル79円。若い人には信じられないだろうが、このように1ドルが80円を切った時代もあった。まあ、それ以外でもだいたい「1ドル100円」とかで計算できた。首都圏のバブルは終わっていたが円高のおかげで空前の海外旅行ブームが続いていた。とくに有名ブランドは海外に出たほうが安く買えると買い出しツアーも盛況だった。
