これまたネタバレですが、彼は営業力を次のように定義しています。
営業力=(個別顧客対応力+新規顧客開拓力+顧客価値創造力)×好印象頻度
詳細な内容は本書を読んで頂きたいとのですが、この式をみて私が考えたのは、顧客や市場に向かい続けることが、次の新しい価値の創造につながるということでした。そして好印象頻度というコンセプトは実に秀逸です。
効率的な営業なるものが求められる時代でありますが、新しい価値の創造ということを意識しない場合のそれは、単なるルーチンワークであり、次の市場を創れず自滅することも再確認した次第です。
この本を読んでいると、あたかも自分が売れる営業マンになったかのような気になってきます。ただ、この本で論じられているような、科学的でありつつ、市場や顧客と向き合い新しい価値を創りだすような営業をしている企業はどれだけあるのかとも考えてしまいました。そういう活動をしないから、タイトルにかぶせて言うならば「営業部ってバカじゃないのか」と思ってしまうのでしょう。
世の中を動かしているのは、営業マン、スーパーマンではなく営業マンです。そして、この営業の仕事が理解されていないことは(されにくいことは)、日本の就職活動・採用活動の永遠の課題でもありました。ベストセラーでありつつも『13歳のハローワーク』(村上龍 幻冬舎)はキャリア教育関係者に必ずしも評判がよくないのは、社会を知らない少年にもわかりやすい専門職だらけで、多くの人が取り組んでいる営業という仕事があまり描かれていないことも一因でした。
既に営業の仕事をしている人、これから社会にでる学生さんもそうですが、営業職の魅力をうまく説明できずに困っている企業の人事担当者、大学のキャリア教育関係者にもオススメの本です。
さすが、営業のプロの方の本だけあって、この本の売り方にもプロを感じます。梅田の紀伊國屋書店では新書部門1位だそうですよ。
ぜひ、チェックを。