「ダイドーはこれまで培ってきたブランド力よりも、むしろ商品力を高めて他社のプレミアム商品との差別化を図っています。また、振るアクションで泡立たせる斬新な発想をそのままネーミングにしたことで、持ち運びできるボトル缶の特徴もストレートに伝わってきます」(前出・宮下)
宮下氏によれば、従来の飲み切りタイプのプルトップ缶と違い、キャップがついているボトル缶の人気も、缶コーヒー人気復活のカギを握っているという。
「コーヒーをよく飲むオフィスワーカーの中には、デスクでこぼれる心配がなく、持ち運びが便利で風味も閉じ込められる缶コーヒーのほうがいいと思っている人は多い。それでいて、味もコーヒーチェーンやコンビニに引けを取らないとなれば、再び市場拡大のチャンスはあると思います。
コーヒー豆価格の高騰で、コンビニコーヒーも100円のまま品質を維持するのが難しい状況です。今後、缶コーヒーを含めてどれだけ付加価値をつけられるか。その差別化は一層激しくなるでしょう」(宮下氏)
いまやコーヒーはワインのように味や好みをじっくり選んで楽しむ時代――といわれる。“コーヒー通”が増えた今だからこそ、缶コーヒーもブランドに頼らない「本物のおいしさ」が求められているのだ。