ビジネス

牛丼価格 乱高下の末にいよいよ「一杯500円時代」が到来か 

来年も牛丼界のバトルは続くか

 2014年のみなさんの心に残ったニュースはなんだろうか。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が、「今年の10大食ニュース」を紹介する。

 * * *
 今年も押し詰まってまりいました。年末恒例の食関連10大ニュースを選定してみたいと思います。本年はいきなり上位の1位から3位を発表し、4~10位は順不同という乱暴な形で発表してまいろうかと思います。花束や記念品は心の中でお送りするということで、ご勘弁ください。

 さて今年度も「食」全体のトピックのなかでもっとも目立ったのは、やはり肉! というわけでサクッと参りましょう。第一位は「牛丼価格乱高下。来るか!? 一杯500円時代!!」。

 牛丼店の周辺は今年、とりわけにぎやかでした。2月になか卯が牛丼の販売を終了し、4月の消費税増税時には吉野家、松屋、すき家3社とも一杯280円だった並盛を吉野家は300円、松屋は290円に値上げ、すき家は270円に値下げを。価格戦略の違いが鮮明になった……ところが夏場に松屋が380円でプレミアム牛めしを発売。店舗の来客傾向などによってノーマルとプレミアム、ふたつの牛めしを店ごとに使い分けるようになり、しかも一度プレミアムに手を染めた店が客数減などを理由に380円のプレミアムから290円のノーマルに逆戻りするパターンも。

 さらにすき家周辺では以前からくすぶっていた労働問題に着火し、夜間や店舗によっては日中も一定期間営業を取りやめた店も出現。時を同じくして、他チェーンでもこれ幸いとばかり、夜間の売上が思わしくない店舗の夜間営業を取りやめる動きが出始めました。

 原価としても吉野家やすき家が使っている北米産ショートプレートの輸入価格が1年間で約2倍になるなど、牛丼チェーンを取り巻く包囲網は狭まる一方で、果たして2015年、牛丼の価格はいくらになるのか、まったく目が離せません。

 さて2位は11月の「ドーナツ販売セブンと白湯発売のローソン 理念の違い明確に」。コンビニについても肉同様、本年も何度か触れたが、ブランパンなど健康路線をひた走るローソンと、売上で他チェーンを引き離すセブン-イレブンの一騎打ちの様相です。ローソンの白湯はすでに店頭に並んでおり、セブンのドーナツ販売が本格化する来年以降、さらに両チェーンの性格は対極的な色合いを帯びるのか、それとも……。

 3位。2014年の年始早々ホテルなどで騒ぎとなった食品表示問題。正直「シャケ弁当がニジマス弁当になってもなあ……」と複雑な気持ちで眺めておりましたが、どうも消費者庁もギチギチに締めつけるわけでもなく、粛々と調査・指導などを継続。結果を淡々とWeb上で公開しています。民の心は移ろいやすいもので、このままうまく鎮火することをお祈り申し上げております。

 その他、4~10位を駆け足、かつ順不同で振り返ると「グルメポップコーン」流行りましたね。いまも原宿の寒空の下、行列は続いています。ちなみに日本にポップコーンが上陸したのは長崎か高知だと言われており、100年ほど前には四国で「花きび」、和歌山で「花」、北海道では「はぜきみ」「はぜとうきび」なんてなんて言われていたそうです。

 いくつかのメーカーから発売された「アーモンドミルク」は、既存の豆乳に新興勢力のライスミルクなども加わって植物性ミルク市場全体の活性化が予測できそう。一方「塩レモン」は、今年の夏前にはにわかに書籍が店頭に並ぶなどブレイクの予兆はあったものの、実際には保存方法や場所、使い方などに戸惑うユーザーが多かったというところでしょうか。最近、あまり聞かなくなりました。

関連記事

トピックス

“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン