危機的な情報が報じられる一方で、iOSの端末、とくにiPhoneユーザーはこういったネットギャングの攻撃を他人事としてとらえがちだ。スマートフォンのウィルス感染に不安を感じている人はAndroidユーザは53.6%にのぼるのに対し、iPhoneなどのiOSでは38.9%にとどまっているという調査を見ても明らかだ(MMD研究所調べ)。
「スマホからよく買い物をするから、やっぱり安全で使いやすいほうがいいと思ってiPhone使ってます。だって、普通に使っているぶんにはウィルスがないんでしょう? そう聞いたからiPhoneを選んだんですよ」(30代会社員女性)
ところが、iPhoneにも同じような脅威にさらされることが2014年11月に判明した。これまでiPhoneでは通称”脱獄”と呼ばれる、基本プログラムを改変した端末でなければ、ネットギャングとは無縁と言われてきた。しかしトレンドマイクロの研究チームが発表した調査結果によれば、iOSに発見された脆弱性を利用して、複数の正規メッセージング系アプリから個人情報を窃取できることがわかった。
「自分はきちんとした場所からダウンロードしている、正規のサイトにしかアクセスしていないと思っても、最近の偽サイトは日本語の不自然さもなく、とてもよくできているので見分けがつきません。モバイル端末にはセキュリティ対策をしていない人が多いですが、必ず質の高いセキュリティソフトを入れて、自分の経験と目視だけでは判別できない悪質なものを防いでほしいですね」(前出・カスペルスキー広報担当者)
いつでもどこからでもモバイル端末を利用できることで、私たちの生活の利便性は驚くほど高まった。友だちとの連絡も、仕事の大事な書類の閲覧も、買い物も、銀行の機能も場所や時間を選ばず行える。その便利さの隙を狙うネットギャングに餌食にならず、楽しく旅行を続けるためにも、セキュリティ対策は万全にしたいものだ。