国際情報

落合信彦氏 中国が軍事で米に挑んでも現状はお話にならない

 ロシアによるウクライナ侵攻、マレーシア航空機の墜落事故、シリアの内戦、イスラム国問題などで、アメリカはなんら有効な手を打つことができなかったとの批判が高まっている。世界での影響力が低下しているオバマ政権の現状について落合信彦氏が解説する。

 * * *
 2014年は、アメリカが自ら「もう世界の警察ではない」と宣言したことに象徴される年だった。

 ロシアによるウクライナ侵攻、マレーシア航空機の墜落事故、シリアの内戦、ISIS(イスラム国)の台頭……どれをとっても、アメリカはなんら有効な手を打つことができなかった。

 それは第一にはオバマの臆病によるものだが、それに引きずられてアメリカ国内全体に厭戦気分が漂っている。アメリカはかつてのような「孤立主義」に戻っているのだろう。

 1914年に始まった第一次世界大戦では、アメリカは終戦間近の1917年に参戦し、「ヨーロッパの領土が目当てなのか」と批判を浴びたことで、国民全体が戦争嫌悪に陥った。だからこそ、第二次大戦の際に大統領だったルーズヴェルトは、日本に真珠湾攻撃を仕向け、1発目は相手に撃たせることで国内世論を導き、最終的にはドイツとの戦争に持ち込むという手段を選んだのだ。

 いまの孤立主義はそのときとよく似ている。中東に介入しても感謝されないことに、アメリカ人の多くが、うんざりしているのだ。

 アメリカがいまなお世界最強の軍隊を有していることに変わりはない。仮に中国がアメリカと軍事衝突しようにも、現状ではお話にならないだろう。中国が持つ核ミサイルで、アメリカ本土に届くものはいまだにない。撃ったらすぐにアメリカのMD(ミサイル防衛)で撃ち落とされてしまうからだ。

 一方で中国の周りは、アメリカの潜水艦が取り囲んでいる。その潜水艦にはトライデント(潜水艦搭載)核ミサイルが搭載されているのだ。つまり、中国の核はアメリカに届かないが、アメリカの核はいつでも中国を狙える。この差は決定的だ。

※SAPIO2015年2月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

イベント出演辞退を連発している米倉涼子。
《長引く捜査》「ネットドラマでさえ扱いに困る」“マトリガサ入れ報道”米倉涼子はこの先どうなる? 元東京地検公安部長が指摘する「宙ぶらりんがずっと続く可能性」
マンションの周囲や敷地内にスマホを見ながら立っている女性が増えた(写真提供/イメージマート)
《高級タワマンがパパ活の現場に》元住民が嘆きの告発 周辺や敷地内に露出多めの女性が増え、スマホを片手に…居住者用ラウンジでデート、共用スペースでどんちゃん騒ぎも
NEWSポストセブン
アドヴァ・ラヴィ容疑者(Instagramより)
「性的被害を告発するとの脅しも…」アメリカ美女モデル(27)がマッチングアプリで高齢男性に“ロマンス”装い窃盗、高級住宅街で10件超の被害【LA保安局が異例の投稿】
NEWSポストセブン
デビュー25周年を迎えた後藤真希
デビュー25周年の後藤真希 「なんだか“作ったもの”に感じてしまった」とモー娘。時代の葛藤明かす きゃんちゅー、AKBとのコラボで感じた“意識の変化”も
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト・目撃者提供)
《ラブホ通い詰め問題でも続投》キリッとした目元と蠱惑的な口元…卒アル写真で見えた小川晶市長の“平成の女子高生”時代、同級生が明かす「市長のルーツ」も
NEWSポストセブン
亡くなった辻上里菜さん(写真/里菜さんの母親提供)
《22歳シングルマザー「ゴルフクラブ殴打殺人事件」に新証言》裁判で認められた被告の「女性と別の男の2人の脅されていた」の主張に、当事者である“別の男”が反論 「彼女が殺されたことも知らなかった」と手紙に綴る
NEWSポストセブン
ものづくりの現場がやっぱり好きだと菊川怜は言う
《15年ぶりに映画出演》菊川怜インタビュー 三児の子育てを中心とした生活の中、肉体的にハードでも「これまでのイメージを覆すような役にも挑戦していきたい」と意気込み
週刊ポスト
韓国の人気女性ライバー(24)が50代男性のファンから殺害される事件が起きた(Instagramより)
「車に強引に引きずり込んで…」「遺体には多数のアザと首を絞められた痕」韓国・人気女性ライバー(24)殺害、50代男性“VIPファン”による配信30分後の凶行
NEWSポストセブン
田久保市長の”卒業勘違い発言”を覆した「記録」についての証言が得られた(右:本人SNSより)
【新証言】学歴詐称疑惑の田久保市長、大学取得単位は「卒業要件の半分以下」だった 百条委関係者も「“勘違い”できるような数字ではない」と複数証言
NEWSポストセブン
本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《真美子さんと娘が待つスイートルームに直行》大谷翔平が試合後に見せた満面の笑み、アップ中も「スタンドに笑顔で手を振って…」本拠地で見られる“家族の絆”
NEWSポストセブン
バラエティ番組「ぽかぽか」に出演した益若つばさ(写真は2013年)
「こんな顔だった?」益若つばさ(40)が“人生最大のイメチェン”でネット騒然…元夫・梅しゃんが明かしていた息子との絶妙な距離感
NEWSポストセブン
ヴィクトリア皇太子と夫のダニエル王子を招かれた天皇皇后両陛下(2025年10月14日、時事通信フォト)
「同じシルバーのお召し物が素敵」皇后雅子さま、夕食会ファッションは“クール”で洗練されたセットアップコーデ
NEWSポストセブン