「少年法を改正するために英雄になりたかった」「有名になれてうれしい」。スーパーで商品につまようじを混入する様子を動画サイトに投稿していた少年が1月18日に逮捕されたが、その動機は釈然としない。
少年犯罪はスリルを求める「遊び型」から、自分の存在を誇示する「自己確認型」に移ってきている。犯罪心理学が専門の新潟青陵大学大学院の碓井真史教授によれば、今回の“英雄になりたかった少年”もその典型だ。
「スポーツや勉強で挫折した子が、簡単にできる悪事で気をひくのが昔からの非行少年のパターン。現在ではそこにネットが絡むようになった」
労働者のうち非正規雇用が4割に迫り、未婚率も30代前半の男性で48%超と過去最高。仕事や恋愛で報われない若者が溢れる現在、ネットは手軽に自分の存在をアピールできる場所。事件と同様の悪質な動画や画像が、日々投稿されている。
一方で、ネットは大勢の目に触れることを忘れて悪ふざけする者も多い。
「友達だけに見せるつもりという感覚で犯罪自慢を投稿し、個人情報が漏れるという認識がない人が多い」(ネットニュース編集者の中川淳一郎氏)
一度悪事をアップしてしまえば、身元の特定は時間の問題。今回の事件で、ネットの怖さが広く認識されてほしい。
※週刊ポスト2015年2月6日号