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直木賞作家の西加奈子氏 「同年代作家はセーフティネット」

「プロレスに勇気をもらっている」という受賞会見での発言が話題を呼んだ第152回直木賞作家・西加奈子氏(37)にとって、受賞作『サラバ!』(小学館刊)は19作目の小説にあたる。

 先の会見では本とともに「作家仲間に対する感謝」を口にした西氏だが、その交友関係はどのようなものなのか。今どきの作家はどこで何を飲み、何を話すのだろう?

「普通の居酒屋で、普通にビールを飲んで、うちらの世代が話すような普通の話をしてますよ(笑い)。みんなすごく仲がいいし、旅行にも行く。うちのベランダの前に1本だけ桜の木があって、年1回、花見と称して集まるんですけど、みんなで朝まで飲んでて、誰も桜は見てなかったり(笑い)。

 そんなふうに会える人も会えない人もいますけど、何より作品を通じて繋がってる気はしますね。どれだけ勇気を出してこの一文を書いたかとか、同じ作家として苦労や技術がわかるから痺れ方が違うし、勇気ももらいます」

 例えば同い年の中村文則氏の新刊『教団X』は、『サラバ!』でも書かれた宗教をテーマにした大作だが、両者では“救い方”が全く違うと西氏は言う。

「たぶん小説を書く人間はその小説を読んだ人に死んでほしいなんて思ってなくて、生きてほしいって思っているはずなんです。

 私の小説は結構、読者をまとめてギューっと抱きしめてしまう暑苦しい感じがあるけど、中村君は一人一人の目を見て、自分も泥だらけになりながら、手を差し伸べる感じがする。だから私はあの小説を読んで打ちのめされたんだし、中村君は中村君で、『こういう書き方は西さんしかできない』と言ってくれる。

 彼は彼、私は私でやれることをやっていこうって信じることで、目を瞑っても走っていける気がするんです。セーフティネットというとヘンやけど、みんながいてくれてるから、自分は自分の小説を書けるんです」

●取材・構成/橋本紀子

※週刊ポスト2015年2月6日号

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