2014年7月4日号では、京都にあるシンクタンクの代表が同年5月28日、総連トップの許宗萬(ホ・ジョンマン)・議長と面談し、マルナカHDから総連ビルを買収して賃貸契約を結ぶ計画を話し合ったことを報じた。買収の原資は「京都駅前の広大な土地」。この計画は官邸幹部も関わっていた形跡があったが、本誌報道により買収資金の調達に不安があることが判明し、お蔵入りになった。

 その後の11月4日、最高裁が総連ビルの強制売却を決定する。マルナカHDが約22億円を納付して所有権が移転した。前述のように、そのタイミングで本誌は「総連が『三角取引』で継続使用するスキームがある」と報じた。

 当時から計画されていた「三角取引」とは、以下のようなものだった。
 
 総連からビルを取得したマルナカHDは直接、総連に近い企業に売却するわけにはいかない。そこで、“クッション役”の他の不動産会社Xに一度、ビルを転売する。そのX社はさらに他のY社に売却。そのY社が総連に賃貸する。
 
 まさにその通りに事態が推移した。マルナカHDはX社に相当する山内不動産に仲介業務を委託。Y社に当たるのがグ社だ。そして、総連はグ社と賃貸契約を結んだ上で継続使用する。
 
 山内氏は香川県丸亀市出身。山内不動産の経営の傍ら、香川県議を2期務めた後、1998年に自民党公認で参院選に出馬して初当選。2010年7月まで2期務め、文部科学副大臣などを歴任した。山内氏が売買の経緯を説明する。
 
「マルナカとは県議時代から会社ぐるみの付き合いがあり、政治活動を支援してもらっていた。そのマルナカが総連ビルを取得したあと同社の中山(芳彦)会長が物件売却を計画中だというので仲介を申し出ました。
 
 私は、総連の許議長とは国会議員時代から知り合いだった。ビル使用について現状維持を希望していると聞いていたので、継続使用を前向きに考えてくれる買主を仲介した」
 
 売却価格は「守秘義務で答えられない」ということだったが、本誌の調べで約44億円と推定される。

※週刊ポスト2015年2月16日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

憔悴した様子の永野芽郁
《憔悴の近影》永野芽郁、頬がこけ、目元を腫らして…移動時には“厳戒態勢”「事務所車までダッシュ」【田中圭との不倫報道】
NEWSポストセブン
現行犯逮捕された戸田容疑者と、血痕が残っていた犯行直後の現場(左・時事通信社)
【東大前駅・無差別殺人未遂】「この辺りはみんなエリート。ご近所の親は大学教授、子供は旧帝大…」“教育虐待”訴える戸田佳孝容疑者(43)が育った“インテリ住宅街”
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
【エッセイ連載再開】元フジテレビアナ・渡邊渚さんが綴る近況「目に見えない恐怖と戦う日々」「夢と現実の区別がつかなくなる」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博を訪問された愛子さま(2025年5月8日、撮影/JMPA)
《初の万博ご視察》愛子さま、親しみやすさとフォーマルをミックスしたホワイトコーデ
NEWSポストセブン
『続・続・最後から二番目の恋』が放送中
ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』も大好評 いつまでのその言動に注目が集まる小泉今日子のカッコよさ
女性セブン
事務所独立と妊娠を発表した中川翔子。
【独占・中川翔子】妊娠・独立発表後初インタビュー 今の本音を直撃! そして“整形疑惑”も出た「最近やめた2つのこと」
NEWSポストセブン
名物企画ENT座談会を開催(左から中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏/撮影=山崎力夫)
【江本孟紀氏×中畑清氏×達川光男氏】解説者3人が阿部巨人の課題を指摘「マー君は二軍で当然」「二軍の年俸が10億円」「マルティネスは明らかに練習不足」
週刊ポスト
田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
ラッパーとして活動する時期も(YouTubeより。現在は削除済み)
《川崎ストーカー死体遺棄事件》警察の対応に高まる批判 Googleマップに「臨港クズ警察署」、署の前で抗議の声があがり、機動隊が待機する事態に
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン