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朝鮮総連が継続使用する本部ビル 売買成立までの経緯詳細

 朝鮮総連本部ビル(東京・千代田区)が1月28日、昨年3月の競売で落札した香川県高松市の不動産会社「マルナカホールディングス(マルナカHD)」から、山形県酒田市の不動産・倉庫業「グリーンフォーリスト(以下、グ社)」に売却された。
 
 その翌日、本誌取材に応じた仲介業者「山内不動産」代表で元参院議員の山内俊夫氏はこう語った。
 
「朝鮮総連が本部ビルを継続使用することによって、日本政府と朝鮮総連や北朝鮮政府の関係が良くなり、拉致被害者や日本人妻などの帰還、戦没者の遺骨収集などの人道的交渉が進展することを期待しています」
 
 一時は総連がビルから退去することは避けられないと見られていた。ところが売買によって所有権を得たグ社は総連側に賃貸する見通しであり、これで総連はビルを継続使用できることになった。
 
 本誌は昨年11月、いち早く「ビルの『三角取引』で総連が継続使用する」と報じたが、まさにその通りの展開になった。今回の売買成立に至るまでの経緯を振り返る。
 
 総連ビルは地上10階・地下2階建てで延床面積は約1万2000平方メートル。東京・千代田区の靖国神社すぐ近く、私立大学や病院が立ち並ぶ一等地にあり、資産価値は高い。塀に囲まれた建物を警察が厳重に警備しており、国交のない北朝鮮にとっては事実上の大使館として機能してきた。
 
 ところが、総連はビルから追い出されかねない状況に陥っていた。バブル崩壊以降、次々に破綻した朝銀信用組合の不良債権回収に乗り出したRCC(整理回収機構)は、事実上の融資先だった総連に返済を求め、最大級の資産である総連ビルを競売にかけた。
 
 2013年3月、最初の入札が行なわれ、鹿児島の宗教法人が約45億円で落札したものの、資金調達ができずに断念した。2回目の入札でもモンゴル企業が約50億円で落札したが、今度は書類不備で資格を失い、東京地裁は2014年3月24日、次点だったマルナカHDへの売却を決定した。
 
 マルナカHDの代理人弁護士は「総連に貸したり売ったりすることはない」と明言して退去を求めたが、総連は高裁や最高裁に強制売却の不服を申し立てた。本誌はその水面下で総連がさまざまなアプローチで継続使用を模索してきた内幕を繰り返しレポートした。

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