「今、テレビをよく観る層は主に40代以上です。彼らの幼少期や青春時代、太川はアイドルとして活躍していた。1977年にはレコード大賞の新人賞を獲っているし、芸能界におけるアイドル全盛期に、NHKの若者向け音楽番組『レッツゴーヤング』の司会を7年も務めていた。ほかにも、『欽ちゃんのどこまでやるの!?』(テレビ朝日系)、『カックラキン大放送』(日本テレビ系)、『ヒントでピント』(テレビ朝日系)という高視聴率番組のレギュラーだったことも、かなり大きい。振り返ると、太川は昔から“数字を持っている男”だったのかもしれません(笑)。

 要するに、有名番組のレギュラーが多かったこともあり、もともとの認知度がかなり高い。そして、何よりも『ルイルイ』のインパクトが強かった。『ルイルイ』に関しては、太川自身も『意味がよくわからない』と言っていますが、あのような歌詞は何年経っても記憶に残る。アイドル時代は嫌だった『太川=ルイルイ』というイメージに、今は助けられていますね」

 たしかに、同年代で太川より売れたアイドルは何人もいるが、印象度で『ルイルイ』に勝てるものはそうそうない。前出・テレビ局関係者は、こう分析する。

「現在のテレビのターゲット層である40代、50代に、太川の生き様は訴えかけるものがある。アイドル時代以降、思うように売れず、陰に隠れていた太川が、不遇の時を経て、56歳になって大ブレイクしている。40代以上の男性からすれば、『自分も頑張ればまだ行けるはずだ』と励みになるし、太川をテレビで見掛けなくなった時期も知っているから、共感できるんです。年を取れば取るほど、同年代の活躍は嬉しいものですからね。

 また、40代以上の女性からすれば、アイドル時代をよく知っている懐かしさに加え、妻の藤吉久美子に一途で、大事にしている姿も応援したくなる要因のひとつ。家事も積極的にこなし、子供の面倒もよく見る太川は、『こんな夫がいたらなあ』という主婦の願望を体現しているんです。『バス旅』でも、わがままな蛭子能収への温厚な対応を昔から、途切れることなく続けている。画面から主婦に『偽りのない優しさを持っている』と伝わっているのでしょう」

 若い頃もがき苦しんだ太川は、56歳にして時代の流れに乗ったようだ。

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