「外資系証券マンになったときも、最初は経済のことはなんの興味もなかった。でも、やっているうちに、お金、経済への関心が強くなっていきました。国会議員に当選したときも、 ニート・フリーター対策や非正規雇用の問題が自分のやるべきことだという思いが強くなった。
バラエティー番組もそう。最初は興味なかったけれども、あるプロデューサーに『テレビを楽しみにしているお年寄りもいるし、病気のかただって大勢いる』と言われて、バラエティーがどれだけ社会に役立っているインフラであるかがわかった。今では、やりがいを感じているし、多くの仕事をいただくようになった。本音では政治をやりたい気持ちもありますが、周りから望まれることをやるほうが道が開けることはあると思う」
講演後、会場の人からは質問が相次いだ。「証券マン時代から、上司やお客さんと接するときに、大切にしていることは?」と聞かれると、
「相手の話をよく聞くこと。証券マン時代、“人は、自分のことを10分話す人より3時間、話を聞いてくれる人のことを信頼するものだ”と先輩社員から言われていました。聞き上手は出世します。小泉(純一郎元首相)さんもよく話を聞いてくれました。
爆笑問題の太田(光)さんも田中(裕二)さんもそうです。あの2人は、『サンデー・ジャポン』(TBS系)のなかで、自分の意見をほとんど言わないんです。聞き役に徹しているのがすごい。優れたリーダーほど話を聞く。聞くということは極めて重要です」と太蔵氏。
「成功するバカと失敗するバカの違いは?」との質問には、「プライドは1円にもなりません」と自らの人生訓を明かし、「周りからバカだと思われている人のほうがチャンスは大きい。“この人はデキる”と思われている人はけっこう社内で萎縮しているもの。あまり期待していないバッターがツーラン(ホームラン)打ったらかっこいいじゃないですか。バカを演じるのはビジネススキルのひとつです」とキッパリ言い切った。
1時間近くしゃべりまくった太蔵氏。テレビでの薄口キャラからは想像できない熱い話に、会場では立ち見の人がいるほどで、メモをとりながら熱心に聞き入る人の姿も目立った。