--読んでいて、朝井リョウさんの直木賞受賞作で就活生がテーマの「何者」を思い出しました。
「私もあの小説は大好きです。あの本に出てくる意識高い系の女子大生“小早川里香”が、この本のが主人公だな、と思いながら書いていました。明朗快活な私という存在を作り上げ、自分自身に嘘をつく天才的な嘘つきを演じていたら、パニック障害で足元をすくわれる。
でもそういう嘘だらけの自分が早めに崩壊して良かったと思っています。もし、あのまま良い会社に順調に就職していたら、どんどんいろななものをこじらせて最悪の状況になってたんじゃないかなと思います」
--この本は自分のブログにメールをくれた人たちへの手紙のつもりで書いたとおっしゃった。想いは届いたと思いますか?
「改めて読み返したら、文章も内容もまだまだで、山の4合目当たりだなと思います。
昔の私は完璧じゃなきゃいけない、誰からも好かれなきゃいけないと思い込んでて、その自分が作り出した思い込みに苦しんでいました。自分が妄想で作り出した虎と闘っていたようなものです。その虎は旅や社会での出会いでだんだん消滅していきました。人と出会うことが、頑なな自分の気持ちを手放すきっかけになる。
この本の企画当初のコンセプトは、『出会った人たちから掛けてもらった言葉で、人生観が変わったもの、背中を押された言葉を紹介する』というものでした。そのときの私のように、その言葉がメールをくれた人たちに刺さればいいなと思います」
もうすぐ就活シーズンが始まる。その前に一読をお勧めする。