『帝国の慰安婦』でも、日本の植民地支配が慰安婦を生んだ原因だとしつつ、韓国社会に根付いた「20万人の少女が強制連行された」という認識は歴史事実に反すると論証している。
書籍が発売されたのは一昨年8月だが、「ナヌムの家(元慰安婦の共同生活施設)」で暮らす元慰安婦たちが訴えを起こしたのは昨年6月になってからだった。
「朴教授は冷静な議論のできる人だから、ハルモニ(おばあさん=元慰安婦の意)からも信頼を得ていた。朴教授に日本軍と自分を売った父親のどちらが憎いか、と問いかけられて『それは父親だ』と答えるハルモニもいた。ただし、慰安婦支援団体の中には朴教授への反感がくすぶっていた。朴教授と最も信頼関係が深かった91歳の元慰安婦が昨年6月に亡くなると、その1週間後に今回の訴訟を起こしたのです」(韓国紙記者)
都合の悪い「事実」を証言する元慰安婦がいなくなった途端、訴訟が起きたわけだ。さらに驚かされるのは、裁判所がその訴えを認めたことである。
【※注】アジア女性基金/元慰安婦に対する補償(償い事業)などを目的として1995年に発足。日本政府の出資金と国内外からの募金によって運営されたが、韓国では補償が国家賠償ではないことを慰安婦支援団体から厳しく批判された。2007年3月末に解散。
※週刊ポスト2015年3月13日号