芸能

石坂浩二 人の声にある長調と短調を意識的に使い分けている

 役者・石坂浩二といえば、金田一耕助や『なんでも鑑定団』での司会などの姿が思い浮かぶが、『渡る世間は鬼ばかり』でのナレーションの声を思い返す人も少なくない。名ナレーターとしても知られる石坂がナレーションについて語った言葉を、映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづる連載『役者は言葉でてきている』からお届けする。

 * * *
 石坂浩二といえば、名ナレーターとしても知られている。しかも、特撮ドラマ『ウルトラマン』、紀行ドキュメント『シルクロード』、ホームドラマ『渡る世間は鬼ばかり』と、扱ってきた作品は多岐にわたっている。

「発声というのを自分で随分と研究していたので、ナレーションという声だけの仕事はやっていて面白いですね。

 劇団四季の演出部にいたことがあるのですが、その時に浅利慶太さんから『役者は声が大事だ。声には良い声と悪い声がある。特に二枚目の役をやるなら、声は聞きやすくないとダメだ』と言われていました。

 それで、ボイストレーニングに通うことにしたんです。僕はそれまで割と高い声をしていました。ですから、音域を下げる練習を二年くらいやりましたね。その時の先生には『普段もその低い声で喋りなさい』と言われました。それで段々と下がってきました。

 そうやってボイストレーニングをしている時に、声にもメジャーの音、マイナーの音、つまり長調と短調があると知りました。喋りには流れがあるから、その流れがメジャーだったりマイナーだったりするわけです。たとえば宝塚の『ベルサイユのばら』のセリフの音は短調が多いんですよ。そういう違いを意識的に使い分けていけば、声そのものが武器になると思えました。これはナレーションだけでなく、劇のセリフでも使えますから。

 発声学の先生には見抜かれましたね。『その声は、作った声でしょう』って。『その顎の形からは、普通はその声は出ない』と言われた時は驚きました」

 特に『シルクロード』の時は喜多郎のオカリナの調べと石坂のナレーションが溶け合って、観る側を悠久の大地へ誘った。

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