最近ではカリフォルニア大学の研究チームが8000以上の科学論文を精査し、「白砂糖は単なる肥満ではなく、慢性疾患につながる」と結論づけた。しかもやり玉に上がったのは、精製糖だけでなく、甜菜糖やメープルシロップ、黒砂糖など。これまで許容されてきた非精製の糖類までもが対象となっている。
一方、脂肪については植物性の油――オリーブ油やアーモンドオイルなど、一価の不飽和脂肪酸は健康にいい影響を与えるという論が近年のトレンドだ。加えて、2014年3月には医学専門誌” Annals of Internal Medicine(アナルズ・オブ・インターナル・メディシン)”に「飽和脂肪酸は心臓疾患の原因にはならない」という研究が発表された。それどころか摂取量が少なくなりすぎると女性は後年、心臓疾患にかかるリスクが増大するという。
砂糖害悪論は昨日今日指摘され始めたものではない。日本でも古くはマクロビオティックの提唱者である桜沢如一が1939年に『砂糖の毒と肉食の害』という本を記している。もっとも桜沢が否定的だったのは生成された「白砂糖」で甜菜糖など非精製の糖類については比較的寛容だった。
とかくこの手の話題は「脂肪が悪い」「いや、砂糖が悪い」という不毛なポジショントーク的バトルに陥りやすい。しかし糖類を含む糖質、動物性や植物性の脂質、そして塩など、ときに悪者扱いされる成分はいずれも人体には必要不可欠なものばかり。つまるところ「過猶不及也」――「過ぎたるは及ばざるが如し」という諺を咀しゃくし続けるのが健康への近道なのかもしれない。