近年、大学の学力低下が叫ばれるとともに、「国際」「グローバル」「子ども」など、学部名を聞いただけでは何を学ぶのかが分かりにくいものも少なくない。最近のトレンドを反映して目につくのが、教育学系の学部である。
東大阪大学の「こども学部」には「こども学科」と「アジアこども学科」の2科があり、同学の教育・研究の柱となっている。保育士や教師の資格を取得できると謳っていることから従来の教育学部や幼児教育学部と同じようにも思えるが、そこには違いがあるという。
「こども学は、教育だけでなく『こどもという人間の時期』を研究する学問です。本学は国内で初めてこども学部を設立し、今では多くの大学に研究が広がっています。カリキュラムは幅広く、こどもと大人、社会、家庭、おもちゃ、保健、食と医療、医学、衣類、住まい、英語、文学、楽器・歌など。アジアこども学科は、アジアの社会問題や国際経済に関するものが多い」(アジアこども学科のアーマンド・スワレス学科長)
こども学科は60人の定員に多い年で90人ほどの受験生があるという。アジアこども学科は苦戦しており、定員割れが続いている。
スワレス学科長がいうように「こども学」は流行しているようだ。宇都宮共和大学の「子ども生活学部」、青森明の星短期大学の「子ども福祉未来学科」があり、全国では10以上の大学で「こども学」を専攻する学部・学科がある。
教育関係では、秀明大学の「学校教師学部」も変わったネーミングだ。教員就職率を誇るホームページを見てもわかるように、教員養成を使命とする点は全国の総合大学、専門大学にある教育学部と変わらないが、同学部は特に「教師としての広く深い教養」を重視するという。教師の資質の変化に注目し、他大学との差別化を狙ったようだ。
※週刊ポスト2015年4月3日号