ライフ

西日本名物肉メニュー 大阪ビフカツに愛媛の今治焼豚玉子飯

牛肉をレアで仕上げた大阪名物のビフカツ

 西日本の肉食文化は、牛肉はもちろん、鶏肉、豚肉、ホルモンなど多種多様な食べ方を誇る。ゴールデンウィークにもし旅行するなら、どこになにを食べに行くか。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏がガイドする。

 * * *
 今年もゴールデンウィークには、首都圏で”肉祭り”が行われる。では関西圏はどうか……というと、実はすでに「肉汁祭」というイベントが4月14日からスタートしている。5月11日までの間、週替わりで10店ずつ、4週間で40店舗がさまざまな”肉丼”を提供する催しだ。連休にはさらなる盛り上がりが期待される。

 そんな”西”にも地域の名物肉は多数ある。まず関西の経済・文化の中心地である大阪だ。大阪と言えば、明治の文明開化以前から福沢諭吉なども牛肉を食べていた牛肉文化圏。肉と言えば、牛を指し、肉じゃがやカレーは言うに及ばず、カツはビフカツ、肉うどんのうどん抜き――「肉吸い」も名物である。

 近畿エリア全般に”牛肉文化圏”であり、兵庫の神戸ビーフや但馬牛、三重の松阪牛、滋賀の近江牛など銘柄牛も多数存在する。例えば松阪牛で知られる三重の松阪。全国にその名を轟かせる「和田金」のほか「牛銀」などすき焼きの名店がいくつもある。県内の桑名や津でも他府県民には想像もできないほど支持されているが、松阪では焼肉業態ながら豆味噌で味つけをした「ホルモン」の人気も高い。

 隣の中部地方はどうかというと、名古屋は明治維新後、旧尾張藩士が「サムライ養鶏」と言われるほど養鶏事業に注力しただけあって鶏食文化圏となっている。銘柄鶏「名古屋コーチン」があり、手羽先のからあげのほか、「ひきずり」とも言われる鶏すきなど、鍋様の鶏料理のメニューも豊富。北上すると、長野県には「山賊焼き」と言われるにんにくの効いた鶏肉のからあげが、新潟ではカレー味の鶏もも肉の素揚げがそれぞれ名物となっている。

 ちなみに北陸エリアは、新潟市内を中心とした醤油ダレの「タレカツ丼」や長岡の「洋風カツ丼」、福井のソースカツ丼など、カツ丼のバリエーションが豊富なエリアでもある。北陸地方の港は江戸時代の「北前船」時代から海路による文化交流が行われてきた。食べ物にも、社交的な気風が見え隠れする。

 さて西のほう、中国地方にも一定の”肉傾向”は伺える。「鶏」「ホルモン」を具材とした鉄板を使った「焼き麺」が地元では親しまれている。岡山の「ひるぜん焼きそば」は鶏肉、「津山ホルモンうどん」はホルモンなど独特の具材を使った焼きそば・焼きうどん様のご当地グルメの知名度は、この数年でグッと上がった。実は銘柄鶏「大山どり」の本場、鳥取にも地元で「ホルそば」と呼ばれる、ホルモン入り焼きそばが地元では親しまれている。それほど「肉」のイメージはなくとも実は味わい深いエリアだ。

 四国ではエリアによって、「肉」「魚」「うどん」など多様な嗜好があるが、愛媛県の今治近辺は肉食傾向が強い。鉄板で押しつけるように焼く「今治やきとり」や、から揚げの「せんざんき」など、古くから鶏の存在感が強かったが、最近では「今治焼豚玉子飯」という半熟目玉焼きを乗せたチャーシュー丼の知名度も全国区になってきた。

トピックス

お仏壇のはせがわ2代目しあわせ少女の
《おててのシワとシワを合わせて、な~む~》当時5歳の少女本人が明かしたCM出演オーディションを受けた意外な理由、思春期には「“仏壇”というあだ名で冷やかされ…」
NEWSポストセブン
『サ道』作者・タナカカツキ氏が語る「日本のサウナ60年」と「ブームの変遷」とは
《「ととのった〜!」誕生秘話》『サ道』作者・タナカカツキ氏が語る「日本のサウナ60年」と「ブームの変遷」
NEWSポストセブン
広陵野球部・中井哲之監督
【広陵野球部・被害生徒の父親が告発】「その言葉に耐えられず自主退学を決めました」中井監督から投げかけられた“最もショックな言葉” 高校側は「事実であるとは把握しておりません」と回答
週刊ポスト
薬物で何度も刑務所の中に入った田代まさし氏(68)
《志村けんさんのアドバイスも…》覚醒剤で逮捕5回の田代まさし氏、師匠・志村さんの努力によぎった絶望と「薬に近づいた瞬間」
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《ずっと若いママになりたかった》子ども好きだった中山美穂さん、元社長が明かした「反対押し切り意思貫いた結婚と愛息との別れ」
週刊ポスト
連敗中でも大谷翔平は4試合連続本塁打を放つなど打撃好調だが…(時事通信フォト)
大谷翔平が4試合連続HRもロバーツ監督が辛辣コメントの理由 ドジャース「地区2位転落」で補強敢行のパドレスと厳しい争いのなか「ここで手綱を締めたい狙い」との指摘
NEWSポストセブン
伊豆急下田駅に到着された両陛下と愛子さま(時事通信フォト)
《しゃがめってマジで!》“撮り鉄”たちが天皇皇后両陛下のお召し列車に殺到…駅構内は厳戒態勢に JR東日本「トラブルや混乱が発生したとの情報はありません」
NEWSポストセブン
事実上の戦力外となった前田健太(時事通信フォト)
《早穂夫人は広島への想いを投稿》前田健太投手、マイナー移籍にともない妻が現地視察「なかなか来ない場所なので」…夫婦がSNSで匂わせた「古巣への想い」
NEWSポストセブン
2023年ドラフト1位で広島に入団した常廣羽也斗(時事通信)
《1単位とれずに痛恨の再留年》広島カープ・常廣羽也斗投手、現在も青山学院大学に在学中…球団も事実認める「本人にとっては重要なキャリア」とコメント
NEWSポストセブン
芸能生活20周年を迎えたタレントの鈴木あきえさん
《チア時代に甲子園アルプス席で母校を応援》鈴木あきえ、芸能生活21年で“1度だけ引退を考えた過去”「グラビア撮影のたびに水着の面積がちっちゃくなって…」
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
《ラーメンにウジ虫混入騒動》体重減少、誹謗中傷、害虫対策の徹底…誠実な店主が吐露する営業再開までの苦難の40日間「『頑張ってね』という言葉すら怖く感じた」
NEWSポストセブン
暴力問題で甲子園出場を辞退した広陵高校の中井哲之監督と会見を開いた堀正和校長
【「便器なめろ」の暴言も】広陵「暴力問題」で被害生徒の父が初告白「求めるのは中井監督と堀校長の謝罪、再発防止策」 監督の「対外試合がなくなってもいいんか?」発言を否定しない学校側報告書の存在も 広陵は「そうしたやりとりはなかった」と回答
NEWSポストセブン