そして九州といえば、圧倒的に鶏食である。最新の総務省の家計調査で、鶏肉の消費量を見ても1位の福岡、2位の熊本をはじめ、全国ベスト10のうち半分以上を九州勢が占めている。とりわけ鶏食が文化的にも根づいているのは大分だろう。宇佐、中津ではからあげ専門店が他府県では類を見ないほど密集している。地元では「コンビニよりもからあげ屋のほうが多い」「ケンタッキーフライドチキンが出店しても、すぐ撤退する」などが噂レベルを超えて、もはや”常識”として根づいている。
ほかにも大分市内には鶏肉を天ぷらのように揚げた「鶏天」、県南の佐伯のほうではもも肉を丸ごと揚げるなど、大分の揚げ鳥文化は実に多彩だ。九州の他地域でも、宮崎のチキン南蛮や、鹿児島にも見られる地鶏炭火焼きなど鶏とのつきあいかたは多種多様。さらに熊本の馬肉や、九州全域で肥育されている和牛など九州では生活のなかに「肉」が深く根ざしている。
最後に沖縄。「鳴き声以外すべて食べる」という土地柄だけあって、豚肉のメニューがあまりにも豊富。スペアリブを使ったおなじみ「ソーキそば」に豚の角煮「ラフテー」、豚足の「テビチ」など数え上げたらきりがない。加工品のランチョンミートを使った「ポーク玉子」が日常食として親しまれていたり、今帰仁アグーといった希少種を絶やさず育て続ける生産者がいるあたりにも、沖縄の「豚肉食文化」の深みが感じられる。
GW中に在阪する肉好きならば、梅田で行われている「肉汁祭」に参加するのもいいだろう。だがその土地でしか口にできない味があり、そこでしか噛み締められない肉がある。少し足を延ばすだけで、まだ知らぬ肉に巡りあうことができる。ただし! 連休時の営業日は事前のチェックも必要だということをお忘れなきよう!