都構想は、大阪の自民党が反対しています。でもね、私は彼らに「いずれあなたたちの誰かが大阪都知事になるんでしょ! 近い将来、都知事でしょ!」と言いたい。今は維新が『大阪政権』を握っていますが、支持率なんてものは上がったり下がったりするものです。今は維新が優勢かもしれませんが、自民だって民主だっていずれは多数派になる日は必ず来るでしょうに。

 その時に「都知事」ですよ! そういう政治家としての夢は持っていないんでしょうかね? 東京の自民党議員と話をすると、「大阪の自民は自分たちが都構想をやるならいいけど、維新にはやらせたくないと考えている」なんてことを言います。仮に、大阪の自民党が大阪都構想を推進する立場になっていたら、今みたいに住民投票をする、なんて事態にはなっていないと思います。

 あくまでも「維新発」なのか、「自民発」なのかにこだわっているとしか見えません。今回は「たまたま維新」というだけのこと。将来の第一党は自民になるかもしれないじゃないですか。そうなれば、都構想を維新が始めたことなんか、誰も思い出さないでしょうよ。今は松井さんが府知事ですが将来的には自民党が大阪政権を握り、そこのトップが東京都知事と並び立つ存在になるはずです。

 自民も夢を持てばいいんです。維新だっていつまで支持率が高いかは分かりません。今、大阪の自民が反対しているのは、「議員数が減る」とか、多くの有権者からすれば些細にしか見えない話。そんなことよりも「東京と肩を並べる」とか、「大阪は西の都・東京は東の都」という大きな考えを持って日本を東と西で担い合う気概がないのか、と思うのです。

■住民投票は住民が「府民」のままか「都民」になるかを判断する日

 反対論の多くは「維新がやるからイヤだ」みたいな、後になって考えればどうでもいいようなこと。大阪の自民党に小泉純一郎元首相みたいな人がいたら、自民発でできるだろうと思います。忘れられているかもしれませんが、小泉政権時の三位一体改革や年金改革、道路・郵政改革と同じ。今回の改革は、たまたま維新という比較的新しい政党から発したということ。なのに、これだけ誹謗中傷合戦をやっている。どんな結果になろうとも、後で大阪の政治家同士、しこりが残ってしまうのはあまり良いことではありません。

 今回の住民投票は、簡単に言うと「大阪府民は、新大阪都民になりたいの? なりたくないの?」、「府民のままがいいの? 府民のままでいいの?」という審判を大阪市民が行うもの。まさに、5月17日は現「大阪府民」が新「大阪都民」になれるかどうかの決戦の日。

 といいますか、「大阪都民」になりたくない人っているんでしょうか? タダで地位が上がるんですよ。あと、蛇足ではありますが、地図業界は儲かりますよ! ま、これは冗談ですが、海外からの観点、地球儀での視点で見た時、日本みたいな細長い国土の国は、1点で支えているよりも、2点で支えるほうがいい。

 場所にしても人口にしても、大阪って塩梅が丁度いいんですよね。東京・大阪が二つの車輪になって日本を引っ張っていく。一極集中経済は危ないんですよ。私は以前、阪神淡路大震災後の対応をする仕事をした時期がありましたが、阪神地域など関西圏がおかしくなった時に東京など関東勢が助けたことを覚えています。これから首都圏に大地震が来るかもしれないわけで、そんな時に助けてくれるのは大阪など関西勢です。大阪都構想が実現することで、相互に補完できる下地が名実ともにできる好機になるでしょう。「府」よりも「都」になった方が、日本全体を考えると有益なことは多い。

■大阪都構想と住民投票は大阪だけでなく、国全体に影響を及ぼす

 大阪以外の人で、国全体のリスク管理考える人は案外多いんじゃないですか? 大阪都に反対するのは、大阪で既得権を失う人、あとは東京だけが唯一の「都」として存在することにプライドを持っている東京都民の一部くらいではないでしょうか。日本全体のリスク管理の観点からすると、国民のかなりの人が賛成すると思います。周辺だってメリットありますよ。東京が「都」だから、周辺の神奈川、埼玉、千葉が栄えているじゃないですか。だから、大阪が「都」になれば、兵庫や奈良、和歌山、京都ももっと集客力を増すチャンス到来でしょう。

 今、東京はすべてが集まり過ぎている異常事態にあります。少し分散すべきです。というわけで、17日は、大阪府民のままか、大阪都民になるか、有権者が決定する日です。東にいる人間としても非常に興味があります。

 大阪都構想についてツイートすると、冷静な賛成リプよりも罵詈雑言口調の反対リプが多くて驚いています。ダメですよ、見ず知らずの人にそんな汚いリプを飛ばしているようじゃ…。ただ、在阪じゃない人で新大阪都政案について冷静に「賛成」とか「反対」の意見を述べる人がいかに少ないかも感じています。私は冷静な視点から賛成です。なぜ、大阪の有権者以外で大阪都構想について言及する人があまりいないのかというと、これが大阪という自治体の中だけで完結する行政改革案だと思っている人が大勢いるからなんでしょうね。

 これは、裏を返せば危機感のなさです。東京一極集中は40年以上も前から是正しようと国としても言ってきたわけですが、実際は進むわけがない。だって、東京だけが「都」なんですから。普通に考えたら「都」に皆さん来るでしょ?

 関東平野という広大なる平野に「都」ができました。もう一つ都を作る場合、交通の便を考えたら大阪平野しかないでしょう。繰り返しになりますが、東京の危機を分散するという意味で、大阪都の誕生はとても良い話だと思います。もちろん、満点の改革なんてものはないでしょうから、多少の問題は出てくるかもしれません。しかし、始める前から悪いことばかり言って躊躇していても仕方ないでしょう。

 あとは、賛成派にしても、「都にすれば全部良くなる」と言うのも短絡的です。新大阪都政が施行されてから本当の勝負が始まるんです。今回の住民投票は、あくまでもスタートに着けるかどうかに過ぎません。いずれにしても今回の投票は、これからの日本全体を考えるにあたっての良い機会だと私は捉えています。

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