春日:先輩からの言葉であったりとか、いろんな人たちとのつながりが芸を育てるというか。『役者は一日にしてならず』を書いた意義って自分の中ではそういうのもあるんです。

武田:読ませていただいてそれは感じました。私もそうですし、特にアクションやりたいと思っている方たちは絶対に読んでもらいたいなと。俳優をやっている弟も読んで「勉強になった」と言っていました。アクションに対する見方だったり、これから演技をやっていく上での感覚がまた変わってくるので、同じ世代の方に絶対に読んでいただきたいと思います。

春日:ありがたいお言葉です。千葉真一さんは「アクションは見世物ではない。アクションの場面が独立してちゃいけないんだ」「ドラマの中にちゃんとアクションが存在しなければならない。アクションも芝居なんだ」ということはよくおっしゃっています。そこは『役者は一日にしてならず』を読む中でわかっていただきたい部分だし、武田さんからそういう言葉をいただけると、こっちも励みになるというか、勇気になるというか。

武田:「こんな若造が」って思われるのは承知の上ですけど、でも、私は新しいアクション映画の時代を絶対につくっていきたいと思ってます。

春日:最後に聞きたいことなんですけど、新しい時代のアクションとして、武田さんの理想というか、こういう映画、こういう方向をやってみたいというのはありますか?

武田:一番は、「まねされたいな」と思います。映画館を出た後、誰もがまねしたくなるような。そして私はかっこいいアクションスターじゃなくて、「やられ」もやりたい。完璧じゃないアクションスターというのはすごくかっこいいなって思います。

春日:なるほど。座頭市じゃないですけど、ああいう負の部分を持ち、時には傷つき、三枚目的要素を持ちながらのアウトローっていいですもんね。

武田:そうですね。

春日:そういうのって子供たちとかも含めてまねしたくなりますよね。以前に別の本で書いたんですけど、今の日本映画に欠けているところって、まさにそこですよね。子供がまねしたくなるようなスターやヒーローが必要だと思う。

武田:それが一番大きいですよね。

春日:そうすると、それがまた次世代につながっていっていくわけですものね。

武田:はい。

春日:そこは武田さんぜひ目指していっていただきたいし、僕も一〇〇%の力で応援させていただきたく思っております。それは僕自身も志すところでありますし。そういうアクション映画や時代劇がつくられる日本映画界であってほしいなと思いますので。

武田:ありがとうございます。がんばります!

<了>

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