日本人はコレステロールを下げるように健康指導されてきたため、脂を異常に警戒する傾向にある。しかし、卵や肉を減らしても血液中のコレステロールは変化しない。長野県の諏訪中央病院名誉院長でベストセラー『がんばらない』で知られる鎌田實医師は、年をとっても頭の回転が鈍くならない、仕事ができる人のひらめきを持ちたいなら“だらしのないベジタリアン”になることを勧めている。
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僕は、仕事のできる人間になるなら“だらしのないベジタリアン”がお勧めだと主張してきた。野菜をとにかく大量に食べる。だけれど、ときどき焼き肉もどっさり食べたり、天ぷらやステーキも食べる。その方が頭のキレも良くなって、健康で長生きできると言い続けた。最近では厚労省と動脈硬化学会の見解も変わり始めた。だから肉もバターも怖がることはない。
しかし脂の中には、悪い脂もあるので要注意。良い脂は、オメガ3という脂だ。これは血液をサラサラにしてくれて、脳梗塞や脳血管性の認知症になりにくくしてくれる。魚の中にあるEPAやDHAである。
日本の脂はオメガ6が多い。オメガ3は、エゴマやクルミオイルだ。僕はエゴマオイルを野菜炒めやドレッシングに使用している。
また脳細胞の老化には、細胞の炎症も関係している。その炎症を起こすのは活性酸素。だから活性酸素を取り除いてあげれば、頭のキレは良くなる。そのためには抗酸化物質を摂取する必要がある。脂溶性の抗酸化物質なら脳細胞に到達しやすい。
その代表的なものがコエンザイムQ10。イワシやサバ、ブロッコリーやホウレンソウに多く含まれている。
Q10をさらに増強してくれるのが、ビタミンE。かぼちゃ、アボカド、大根の葉、アーモンド、ウナギ、ハマチに多く含まれている。こういうものを食べると頭のひらめきも良くなるのだ。
※週刊ポスト2015年6月5日号