また7%が知る極秘情報にも誤りや〈ダメ情報〉は多く、逆に公開情報も加工次第で価値あるものにできる以上、問題は接し方なのだが、そこで氏が始めたのが〈牛丼〉の話。今や牛丼も立ち食い蕎麦も安くてうまいだけに食べ続けると危険なのは、その安さに慣れ、〈ほかの選択肢があることを忘れてしまうからです〉。むろん高級店の厳選料理を食べ続けてもダメで、要はバランス次第で、格安の情報や〈超有益な秘密情報〉に飛びついて却って〈情報判断の閾値〉を下げる愚を、氏は何とも卑近な例で諭す。
「たとえば一般の人が名前も知らない祇園の名店で芸妓を挙げた翌日は、『王将』で餃子をほおばるとかが好きなんです(笑い)。単に高い店や、やたら偉そうな店を有り難がる人ほど本物を知らず、中の上と下だけ見て全てを知ってると思う人も実は何も分かっていない」
かといって情報に極端に背を向けるのも危険で、〈忘れられた大衆になることは、収入減につながります〉。そこでカギを握るのがツール選びだが、自身は最新機器と〈赤色のフェルトペン〉等のアナログを両刀使いし、テレビは主にBSを24時間つけっ放し。雑誌は広告、本はベストセラー以外を読むが、最大の情報源は人だ。
例えば氏が現在オーナーを務めるインスパイア社は、昨年上場したユーグレナの筆頭株主。ユーグレナとは今話題のミドリムシのことで、元はその将来性に着目した堀江貴文氏の逮捕時に譲り受けた株が大化けしたとか。成毛氏は書く。〈とびきりの情報は、仲良くなった人からもたらされる〉〈さあ、どんどん飲みに行こう〉
「時々テレビは観ないとか新聞はダメとか、旧来メディアを全否定する人がいるけど、バカだなと思うよね。問題はその中身の何を拾い、何を捨てるかでしょ? 僕もさすがに紙の新聞は読まなくなったけど、スマホでは新聞をよく読むし、テレビや雑誌でも然るべき工程を経て世に出てきた情報は精度が全く違いますよ」