東京五輪の予算拡充に向けて、「プロ野球toto」の創設が検討されている。2001年のスポーツくじ導入時にプロ野球が対象から外れた遠因には、八百長問題が発覚した1969年の「黒い霧事件(*注)」のトラウマがあった。
【*注:西鉄ライオンズの投手らが野球賭博を巡って暴力団関係者から金銭を受け取り、八百長〈敗退行為〉に関与していたとして6人の選手が永久追放処分を受けた事件=2006年4月に池永正明氏は処分解除】
球界に詳しいノンフィクションライターの松瀬学氏が解説する。
「プロ野球がスポーツくじの対象になるとなれば、関係者は必ず八百長問題を心配します。その懸念を払拭するためには『非予想系』のくじにする必要があるでしょう」
7種類あるサッカーくじは大きく「予想系」と「非予想系」に分けられる。
前者は「toto」や「toto GOAL3」のように購入者が試合結果などを予想するタイプ。一方で非予想系として知られるのが「BIG」だ。コンピューターが14試合の「勝ち」「負け」「引き分け」を無作為に選ぶため、購入者は結果を予想する必要がない。1口300円で、14試合すべてが的中の1等は最高3億円となる。
プロ野球くじもBIG方式なら八百長が防げるというのが超党派のスポーツ議連内の基本認識になっている。購入者自身がどのチームの「勝ち」に投票するかを決められないから、八百長は起こらないという理屈である。
議連関係者は具体的な仕組みの検討が、かなり進んでいることを明かした。
「プロ野球はJリーグより球団数が少ない。対象試合数が少ないと当せん確率が上がるので、1等金額は低くなってしまう。それだと話題にならないから、2日間12試合を対象にして、毎週開催の形式を取る。
BIGに倣って結果を3種類に分けたいが、野球はサッカーより引き分けが少ない。そこで“引き分け”の範囲を広げて本拠地開催のチームの『2点差以上の勝ち』『1点差以内』『2点差以上の負け』といった分け方がいいという意見が出ている」