国内

景観保持、高齢者増、老朽化で京都の歩道橋約半数にする計画

 車社会の日本で、歩行者の安全を守ってきた歩道橋。全国に約1万基ある歩道橋は、その半数が設置から40年以上経って老朽化。これまでに少なくとも約500基が撤去され、その動きは加速している。今年5月、京都市は市が管理している歩道橋の数を約半数に削減する方針を決めた。

「現在ある歩道橋40基のうち18基を撤去対象としています。撤去理由は景観の保持と歩行者優先の街作りです。昭和40年頃交通事故が多発し、車から分離して歩行者を通行させようという考えのもと、歩道橋が建てられました。しかしその後、横断歩道ができたため使われなくなったり、何より老朽化しているものは危ない。そういうものから撤去に踏み切ります」(京都市建設局土木管理課)

 そうした事情に加えて高齢者の増加も原因のひとつのようだ。高齢者が増加するにつれ、階段の上り下りが必要な歩道橋利用者は減るばかり。歩道橋ではなく、横断歩道の拡充が求められている。都内に住む52才の主婦が言う。

「体力的にキツいですね…。特に重い荷物を持っていると上りたくありません。それに歩道橋の幅は狭いので、向かいから人がくると、ぶつかって転んでしまうんじゃないかと心配です。最近では、遠回りでも少し先の信号まで歩いて横断歩道を渡っています」

 昨年1月には、東京・原宿駅前の神宮橋交差点の歩道橋が撤去され、横断歩道が敷かれた。その費用は「約1億円」(東京都建設局保全課)とかなり高額だ。それでも撤去に踏み切ったのは「地元のかたたちから『歩道橋は不便。道路を渡りたい』という声があがっていた」(同前)からだという。

※女性セブン2015年6月18日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
”クマ研究の権威”である坪田敏男教授がインタビューに答えた
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン