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少年Aの手記 いかにも文学青年崩れ的な文章でゴースト説も

 日本中を震撼させた神戸連続児童殺傷事件(1997年)の犯人、「少年A」の手記『絶歌』(太田出版)が6月11日に刊行された。手記は「元少年A」名義で書かれ、初版は10万部。すぐに5万部の増刷となった。現在彼は32歳となっている。

 Aは事件後、医療少年院に入所したが、その医療少年院に講師として招かれ、少年らの授業を受け持った童話作家・森忠明氏に将来の希望を尋ねられ、当時18歳だった少年Aは「小説家になりたい」と答えた。

 森氏はAから短編小説を渡され感想を求められた。18歳の青年Aが書いた小説の一部を改めて抜粋する(以下、すべて原文ママ)。

 《題 愛想笑いに手には名刺を

(中略)「探偵さん」声が掛かる。振り返ると、傍らに背広を着た男性が。まずい、予定外の事に焦ってカメラを模索する。

「私達、籍を入れたのよ。」
やはりそうか、

「それはそれは、どうも実は俺、日本野鳥保護の会の者で……」という風太郎は証明を手に思う。依頼不通はこういうことだとは。》

 エンディングまで到底理解のできない文章が続く。

《僕は、サクラの木に凭れ掛かる。風太郎の周りの木々がざわめき立つ。そして、サクラの匂い、項垂れる風太郎に優しく進学を断念させて下さった桜子教師の香り。

 その戦慄が、風太郎の脳裏を又、掠める。僕は手帳を取り出す。心のままに記してみたくなったから。

──オキテだらけへの兆戦》

 この短編小説と、今回の手記を比べると、文章力は格段の進歩だ。描かれた精神構造は別として、“ストーリー”は理解できる。同じ人間が書いたものと思えず、実際に「いかにも文学青年崩れが書きそうな修飾過多の文章からは、一部ではゴーストライターの作に違いないと見られている」(出版関係者)という。

※週刊ポスト2015年7月3日号

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