――婚活スナックのママは「婚活は、合わせ鏡のようなもの。寄ってくるのは、自分と同じような人ばかり」とも言っています。耳の痛い言葉です。

黒川:はい。自分を磨かないと、いい男は寄ってこないと断言されました。ですね。ただ、ほとんどの男性は若い女性がいいんです。60歳とか70歳の男性で、20代の女性を希望している人もいるから呆れちゃいますが(笑)、だからこそ私のような年齢は、意識して恋愛対象を広げていくことも大事だなと思っています。

 婚活アドバイザーになってくださった知人(新潮社の中瀬ゆかりさん)には、私は「おじさんに厳しい」って言われたんですよ。それは、私の好みの表れでもあるのかもしれないけど、恋愛対象として見たことのある男性が(離婚時の年齢である)38歳で止まっている、というのもあるんですね。つまりおじさんに慣れていない。これから、ですね。

――なるほど。黒川さん、「恋愛運動能力」を磨くトレーニングもされていますね。

黒川:中瀬さんに「恋愛運動能力が落ちている」とも言われましたから。どんな能力も、使わないと衰えるんですね。そこでトレーニングを始めました。通りすがりや電車の中などで見かける男性を、「キスができる箱」と「できない箱」に分けていくんです。瞬時に判断する、というのが、失った運動能力を回復するポイントです。なかなか難しいんですよ。若ければいいというわけでもない。私はこういう人が好みだったのかと、発見する面白さもあります。

――パートナーに求めるものは何ですか? それは若い時と今とで、変わりましたか。

黒川:若い頃は好きという気持ちだけで突っ走ることができましたが、やはり歳をとると、いろいろ考えますよね。経済力も気にはなりますが、トキメキもほしい。とても難しいのですが……。

――婚活をされて半年程度ですが、やってみてわかったことはありますか。

黒川:まだ何もなし得ていないので、偉そうなことは言えないのですが、「中高年女子のおばさんに、棚ボタはない」です。

 以前、仕事で、バブルを謳歌した独身アラフォー女性たちに取材をしたんですね。彼女たちは40代半ばでありながら「心は23歳のまま」で「白馬の王子様を待っている」と言うんです。みなさんお綺麗で、十分な自己投資をしていて、ずいぶん若くは見えますが、正直、異様だなと思いました。それが今回、婚活をして、私も彼女たちと大差なかったことに気付いたんです。私も心のどこかで、棚ボタを期待していたんでしょう。婚活は、相手と向き合う前に、自分と向き合う活動なんだということが、よくわかりました。

――婚活して、何か変化はありましたか。

黒川:最近、「顔が変わったね」と言われます。見られ、晒されることで、顔がくっきりしてきたみたい。嬉しいですね。それから、なりふりかまわない世界に一歩踏み出すと、勇気が湧くし、自信がつくんです。そんな55歳をイタイと見る人もいるかもしれませんが……、そう揶揄されることより、何もしないまま、人生を終わっていくことのほうが私は怖ろしいですね。

――結婚はコスパが悪い、という風潮も広がる中、記者のように、黒川さんの行動に勇気づけられる人も多いと思います。

黒川:考え方は人それぞれだけど、結婚はコスパ、という考え方は、私は嫌いです。一人より二人の方が楽しい、そのくらい気楽でいいんじゃないかな。私の周りのアラフォー、アラサー女性にも、結婚していない人はたくさんいます。「このままでいいのかな」という気持ちが少しでもある人には、55歳の私が泥水すすっているのだから、頑張ろうよと言いたい。もちろん男性にも頑張っていただきたい!

――婚活はこれからも続くわけですね。

黒川:まだスタートしたばかりですからね。パートナーが見つかるまで頑張ります!

【略歴】
くろかわ・しょうこ●1959年生まれ。弁護士秘書、ヤクルトレディ、デッサンモデル、業界紙記者などを経てフリーライターに。家族の問題を中心に執筆活動を行う。著書に『熟年婚 60歳からの本当の愛と幸せをつかむ方法』、『誕生日を知らない女の子 虐待――その後の子どもたち』(第11回開高健ノンフィクション賞受賞作)。最新刊は『子宮頸がんワクチン、副反応と闘う少女とその母たち』。

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