民間有識者でつくる日本創成会議によれば、今後10年間で東京圏(1都3県)では75歳以上の後期高齢者が175万人増え、全国の高齢者の3分の1が東京圏に集中するとされる。大都市における高齢者施設の不足はもはや避けられない状況だ。

 大量の“老人ホーム難民”の発生をいかに防ぐかが大都市を抱える各自治体の悩みの種となっている。都庁幹部が話す。

「日本版CCRCを“姥捨て山”と批判する声もありますが、それは違います。東京在住の60代男女と同50代女性の約3割、50代男性に限れば半数以上が地方への移住を希望しています。理由は地方に移り住んだほうが生活水準が上がるためです」

 日本創成会議の試算によれば、サ高住に住むコストは、東京で月約25万円だが、地方(福井、三重、高知県)では同12.6万円。高齢者夫婦がサ高住に入居した際の消費支出も、東京で月額39.5万円、地方は同26.9万円と、その差は大きい。

 経済面ばかりではない。高齢者施設といえば、「要介護状態」になってから入居するのが普通だが、心身ともに元気なうちに入居するCCRCは結果的に「健康長寿」に繋がると米国では評価されている。内閣府のCCRC担当者がいう。

「CCRCが従来の高齢者施設と違うのは、高齢者に地元住民や若者、子供などさまざまな世代との交流を促し、コミュニティに必要不可欠な一員となってもらう点です。

 これまでは高齢者が施設の中で互いに繋がるだけの閉じた空間しか提供できなかったが、もっとオープンな共同体の中で老後を自立的に過ごしてもらう発想です。アメリカではCCRCは富裕層向けが中心ですが、日本版では収入に関係なくすべての高齢者に門戸を開いていきたい」

※週刊ポスト2015年8月7日号

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