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猛暑の快眠術 クーラーで部屋をキンキンに冷やすのは逆効果

 熱帯夜が続いて睡眠不足になり、日中の暑さで体のだるさが増す──連日の猛暑でそんな悪循環が生まれている。寝苦しい夜にぐっすり眠るための、睡眠時のエアコンの正しい使い方を紹介しよう。

【1】「クーラーで部屋をキンキンに冷やす」は逆効果

 睡眠と密接な関係があるのは「深部体温」だ。普段、体温計で計っているのは皮膚の表面体温で、深部体温とは内臓の温度のことを指す。作業療法士でベスリクリニック睡眠外来担当の菅原洋平氏が説明する。

「深部体温を下げていくと人間は眠くなります。内臓の温度を下げるには、まず汗をかくことです。汗が蒸発する時に体内の熱を気化熱として奪い、深部体温が下がっていきます。寝る時にエアコンをつけて部屋を一気に冷やしてしまうと、表面体温だけが急激に下がり、深部体温は高いままで眠りに入りにくくなってしまいます」

【2】設定温度は寝る前が「25度」、寝る時は「29度」

 悩ましいのはエアコンの設定温度だ。快眠セラピストの三橋美穂氏はこういう。

「猛暑日は昼間の熱が部屋にこもっているので、就寝前の約1時間は25度くらいの低めの設定にして部屋と寝具を程よく冷やしておきます。そして寝る直前に、うっすらと汗をかくけど目が覚めない29度くらいの設定にするのが好ましい」

【3】タイマーは何時間後にセットするのが正解か?

 一晩中エアコンをつけていると、起きた時にだるさを感じるのでオフタイマーは必須だという。何時間後に切れるように設定すればいいのか。菅原氏の解説。

「人間の睡眠は前半で深く、後半はほとんど起床の準備をしています。深い睡眠が得られるのは寝入ってから最初の3時間です。エアコンのオフタイマーもそれに合わせて設定するのが望ましい。人間の睡眠は日照時間のサイクルと密接な関係があり、日が長い夏場は睡眠時間が短くなるのが自然です。4~5時間で目が覚めても気にすることはありません」

 効率よく眠ることを重視すべきなのだ。

【4】妻がエアコンを消した時の対処法

 夫婦の寝室でよく勃発するのが「エアコン温度戦争」だ。夫は室温を下げたがり、妻は「寒い」といって消したり、温度を上げようとする。その理由は筋肉量の違いにある。熱を生み出す器官である筋肉の量が多い男性は暑がり、少ない女性は冷えを感知しやすい。

「女性が寒く感じる場合はレッグウォーマーを履いてもらうようお願いするといいでしょう。首や足首を温めると寒気が和らぎ、眠りやすくなります」(前出・三橋氏)

※週刊ポスト2015年8月14日号

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