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不動産「相場の2割引で購入するための超裏ワザ」を識者指南

物件の見極めには「相場観」が大事

 首都圏では新築・中古を問わず、不動産価格が高騰を続けている。いわば不動産バブルともいえる状況下で、物件の適正価格を見極める“相場観”を身につけるのは難しい。

 だが、公にはされない不動産仲介業者間の「取引ルール」を知っておけば、割安価格で夢のマイホームが手に入るチャンスも出てくる。住宅ジャーナリストの榊淳司氏がその裏技を公開する。

 * * *
 一般の人には知られていないが、不動産には2つの流通価格がある。エンド価格と業者価格である。

 エンドというのは不動産仲介業者の用語でエンドユーザーのこと。つまり一般人だ。業者は仲介業者やブローカーのこと。ブローカーとはエンドではなく、業者向けに物件を持ちまわる方々。エンドさんとはほとんど接触しない。

 ただ、人手が足りない時に物件の案内に狩り出されたりすることはよくある。案内されていて、その会社の人らしくないな、と思ったら大概がブローカーである。

 ヤフー不動産やホームズなどの不動産ポータルサイトに出ている物件は、ほぼすべてがエンド向け。表示されている金額もエンド価格。街の不動産屋の表に貼ってある物件もすべてエンド向けのエンド価格だ。

 業者間で取引される物件は、ほとんどそういったみなさんの眼につくところへは出てこない。業者同士が事務所の応接室やルノアールのような大きめの喫茶店の片隅でヒソヒソと取引されている。そして、その価格はおおよそエンド価格の2割から3割安。場合によっては半額近いこともある。

 例えば、Aさんが自分のマンションを売りたいとしよう。最寄駅近くに店舗を構える大手系列の業者を何軒か呼んで査定価格を聞く。そして、一番高く出してきたB業者に専任で売却の仲介を依頼したとしよう。

 こういった場合、だいたい3か月は売れない。これは「囲い込み」と言って、Aさんのマンションの買い手をその店舗以外の業者が見つけてこないように、物件情報を隠してしまっているのだ。「囲い込み」については、また別の機会に詳しく説明したい。

 ところが、Aさんには換金を急ぐ理由があったとする。早くまとまったお金にしなければならない。B業者がそこで提案する。

「○○○○万円なら、当社で買い取ります」

 当初提案の2割安くらいの水準。Aさんはその額での売却も「仕方がないか」と諦めてしまう。「では、決済は1か月後ということで」と、話が決まる。つまり、残金を払って登記変更するのは1か月先。それで、そのB業者はどうするのか。

 まず、今度こそ必死でエンドの買い手を探す。もちろん、売却額は当初提案の金額。1か月以内に買い手が見つかれば、登記費用など余計なコストなしで丸々2割の利益プラス買い手側からの手数料3%+6万円が手に入る。

 もし買い手が見つからなければどうするのか。本当に自分で買い取ることはまずない。僅かな利益を乗せて、資金力のある買い取り専門のC業者に転売する。それでも、B業者は売りと買いの両方から3%+6万円の手数料を取れる。

 他の多くの業者にも依頼して買い手を探せば片方の3%+6万円だけ。同じ手間ひまかけての手数料収入はかなり違ってくる。これが不動産仲介の世界だ。

 もうひとつ裏がある。物件を買ったC業者はどうするのか。もちろん、エンドユーザーの買い手を見つけて売る。これも計算上は2割近い利益が得られる。いわゆる美味しい物件だ。

 彼らはそういった業転モノ(業者間転売物件)を仕入れては、エンドに高く売って利益を出している。だから、売れる物件が欲しくて仕方がない。しかし、仕入れは簡単ではない。そこで裏の手を使う。

 駅前に店舗を構えて直接エンドと接触することが専門のBのような仲介業者の担当者を、美味しいエサで手なづけるのだ。

 Aさん宅のような美味しい物件を持ってきてくれた担当者には、個人的なお礼をする。これを業界用語で「担ボー」という。担当者ボーナスの略。相場は、取引価格の3%。結構な金額になる。

 もちろん、税務申告の必要はなし。Bのような業者の担当者は、担ボーが欲しいばかりに、Aさんのマンションを囲い込んで売却価格を下げさせ、ひたすらCに売ることを最優先にする。そうすると、何百万円もの小遣いが入ってくる。時々、若くても羽振りのいい不動産業者の社員がいることにも頷ける。

 これはエンド世界にはあまり知られていないが、業界内では公然の常識である。

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