USJの誘致に関しては、サントリーホールディングス社長で、経済財政諮問会議のメンバーでもある新浪剛史から紹介を受け、菅が働きかけたという説もある。新浪も菅の親しいブレーンだ。が、実際はそうではないという。
「新浪さんはまた別で、新浪さんが今のCEO代表取締役社長グレン・ガンペルさんとすごい仲がよくて、私が沖縄の件で会いたいと言ったら、ガンペルさんがやって来たんです。USJとしては、(沖縄北西部の海洋博公園にある)美ら海水族館と連携し、観光客を呼び込みたいという発想のようです。
美ら海水族館には、年間三百万以上の来場者がいる。だから、あそこと連携して、相乗効果を高めたいといっていました」
カジノ構想については、菅自身も力を入れてきたが、現状では安保法制の国会審議が優先され、法案成立の目途は立っていない。したがって表向きは未定というほかないが、いずれにせよ、カジノ抜きでもUSJ計画は進めるというのが政府の方針らしい。仲井真時代の菅は、基地移設というムチに対し、カジノやUSJなどの沖縄振興策というアメを使って計画を進めてきた。
だが、いまや政府と地元が相容れず、膠着状態に陥っている。この先、菅に秘策はあるのだろうか。(敬称略)
※SAPIO2015年10月号