ビジネス

大ヒット「メロンパンの皮」 地方発商品と本社の向き合い方

ヒットの背景を語る斉藤高志氏

 パンで4割のシェア(会社四季報)を占める山崎製パン。原材料高騰で逆風下に置かれる業界のひとつだが、山崎製パンの2014年度決算を見ると営業利益208億、前年比126%と増収増益だ。その山崎製パンによる2014年に発売のヒット商品「メロンパンの皮焼いちゃいました。」は、「皮」だけのお菓子にも関わらずなぜ1か月で1300万個売れたのか。作家の山下柚実氏がリポートする。

 * * *
「メロンパンの皮焼いちゃいました。」

 ちょっとふざけたネーミング。だがれっきとした商品名だ。その名の通り、サクサクとしたメロンパンの「皮」の部分だけで成り立っている。2014年10月、関西限定で発売されるとネットやツイッターで「夢のような商品」と人気に火が点いた。

 だがそもそもメロンパンの「皮」だけを商品化するという奇妙な発想は、どこから生まれてきたのか?

 「大阪第二工場から生まれました。メロンパンの製造ラインの稼働率を上げるため、関連の新商品を企画できないかというのが出発点でした」と同社営業統括本部マーケティング部の斉藤高志氏(43)は振り返る。

 メロンパン好きの工場勤務スタッフには女性が多かった。生産現場だけでなく総務や経理も含めた女性チームで自由な意見を出し合った。

「『メロンパンはおやつに食べるには大きすぎる』『いつも皮だけ剥いで食べる』『中に惣菜を入れてみたい』など、想像もつかない意見が出てきたのです。最終的に、メロンパンの美味しさは皮のサクサク感にある、ということでテーマを絞り込みました」

「正直、本社ではこれほどヒットするとは予想していませんでした。発売当初はコンビニなど店舗から入る注文数も、決して目立つ数ではなかったのです」

 本社の営業やバイヤーですら読み切れなかった人気。しかし、ツイッターによる口コミが口コミを呼び一日100個売れる店、まとめ買いをする客が続出した。注文が殺到し全国販売へ踏み切ると、11月の1か月間に何と1300万個も売れたという。かの大ヒット商品「金の食パン」が同じ個数を販売するのに約4か月かかったのを見れば、「メロンパンの皮~」のロケットスタートがいかに凄まじかったかがわかる。

関連記事

トピックス

国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
普通のおじさんがSNSでなりすまされた(写真提供/イメージマート)
《50代男性が告白「まさか自分が…」》なりすまし被害が一般人にも拡大 生成AIを活用した偽アカウントから投資や儲け話の勧誘…被害に遭わないためには?
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン