ビジネス

缶コーヒー新潮流 「高級化」に続き「有糖ボトル缶」で激戦

缶コーヒー市場はボトル缶の相次ぐ投入で混戦に

 ようやく猛暑続きの夏が終わり、気温が低くなるにつれて無性に飲みたくなるのがコーヒー。飲食店や飲料メーカーにとっては、秋以降の“コーヒー商戦”をいかに制するかで年間の儲けが大きく変わってくるだけに、大々的に新商品やリニューアル商品の拡充を図るわけだ。

 国内のコーヒー市場は近年、産地や豆のほか焙煎・抽出方法にもこだわった「サードウェイブ(第3の波)」に乗るコーヒーショップ、それに淹れたてを売りに販売杯数を増やし続けるコンビニコーヒーが人気を独占している。

 その一方で、苦戦を強いられているのが缶コーヒーである。出荷量でみれば年間約3億5000万ケースで横ばいか微減が続いているが、2013年はコンビニコーヒーに話題を奪われ、昨年は増税による“自販機離れ”が起きるなど不運に見舞われた。

 缶コーヒーのブランド別シェア(2014年・飲料総研調べ)は、ここ数年変化がない。

 1位/ジョージア・30%(日本コカ・コーラ)、2位/BOSS・24%(サントリー食品インターナショナル)、3位/ワンダ・11%(アサヒ飲料)、4位/ダイドー・9%(ダイドードリンコ)、5位/FIRE・7%(キリンビバレッジ)と続く。10%以上のシェアを握るのは上位3社しかない。

 しかし、「缶コーヒーには2つの新潮流があり、その行方によってはどこが大きくシェアを伸ばしてもおかしくない状況」と話すのは、飲料総研の宮下和浩氏だ。

「まず、昨秋に『プレミアムBOSS』が火をつけた高品質路線です。厳選素材を使いコーヒーの香りや味わいを引き立たせることで、BOSSはブラック、微糖、カフェオレなどすべてのジャンルを持つうえに、プレミアムという新定番も創出しました。

 そして、今年は王者のジョージアが満を持して“至上最高傑作”と謡う『ジョージア ザ・プレミアム』を発売しました。ジョージアはエメラルトマウンテンなど定番がじわじわとシェアを落としていた中での久々の大型商品投入。今後の売れ行きに注目です」

 上位2社によるプレミアム市場の戦いを後目に、趣向を凝らした新商品で対抗するのは、ワンダとFIREだ。

「ワンダが9月に発売したばかりの『エクストラショット』は、“ゼロ系コーヒー”として売っていた『ゼロマックス』の後継ブランドです。

 糖類・糖質などをゼロに抑えた缶コーヒーは、〈健康的でもおいしさを犠牲にしている〉というネガティブイメージがついて一時のブームは去っていますが、カロリーは抑えたいけど無糖ブラックには手を伸ばさない消費者もまだ多い。そういう人たちの受け皿になれるかに注目です。

 キリンが10月に発売する『スーパーファイア スピードブレイク』は、その名の通り、スピーディーにリフレッシュしてもらおうと、コーヒーに苦味のあるカカオを加えています。また、缶のデザインもコーヒーらしくない銀色基調で斬新。熱狂的な固定ファンを増やすことができればFIREのシェア向上が狙えるでしょう」(前出・宮下氏)

 プレミアムを前面に協調するか、中身や飲用シーンを訴えかけるかの勝負になってきた。

関連記事

トピックス

大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン