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お彼岸のお供え物 お参り後は下げて持ち帰るのが一般的ルール

 日本には、仏教が入ってくる前から、太陽神である天照大神を拝するように、お日様を信仰する考え方があった。時期は定かではないが、その思想が仏教と結びついたのがお彼岸だ。

 お彼岸は年に2回。春分の日、秋分の日を中日として前後3日間の7日間、春と秋で計14日間をいう。春分、秋分の日は年によって異なるが、今年の秋分の日は9月23日、よってお彼岸は9月20~26日となる。

 ちなみに初日を「彼岸の入り」、最終日を「彼岸の明け」、春分の日、秋分の日にあたる日を「彼岸の中日」というのだが、お彼岸のそもそもをあなたは説明できますか?

 和文化研究家で、情報サイト「All about」暮らしの歳時記ガイドの三浦康子さんが解説する。

「仏教の教えでは、私たちがいる迷いや煩悩に満ちた世界を“此岸”といい、対岸となる西の方角に死後、到達する悟りの世界である“彼岸”があるといわれています。

 そして、春分の日と秋分の日は太陽が真東から昇って真西に沈むので、此岸が彼岸に最も近づきやすいと考えられています。昔はお彼岸に夕日を拝む慣わしがあり、今でも年配のかたで、夕日を拝むかたがいらっしゃいます」

 お彼岸はほかの仏教国では見られない日本独自の風習。日本人が農耕民族であったことと無関係ではない。三浦さんが続ける。

「春の種まきや秋の収穫の時期と重なるので、自然に対する感謝や祈りが、ご先祖様を感謝する気持ちにつながって、お彼岸は人々の生活に根付いた大切な行事となりました」

 とはいえ、核家族化、過疎化が進み、お彼岸といっても何をしたらいいかわからない人も多いはず。宗派によって多少異なるが、基本の心得をお伝えしよう。

 お盆の時期には、きゅうりの馬やなすの牛を作るなどの風習があるが、お彼岸は?

「お彼岸は此岸にいる私たちが、悟りの世界である彼岸にこちらから近づこうとする日です。なので、仏壇仏具をきれいにしてお墓参りをします。煩悩にまみれた私たちが、能動的に先祖供養をしながらご先祖と対話し、感謝したり自分を見つめ直したりするのです」(三浦さん、以下「」内同)

 仏壇仏具を整頓するとともに、お墓をきれいにする必要がある。基本は水で全体を流し、細かい部分は歯ブラシでこする。花を立てる花立や、線香を置く香立は汚れやすいので念入りに。最後はまた水をかけ、その後に、タオルでしっかり水気を取れば、お墓がカビる心配もない。

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