ビジネス

マイナンバー導入で脱税把握が容易に 狙われるのは名義預金

 10月からマイナンバーがスタートする。番号通知が始まり、2016年1月から実際の運用が開始される。新制度の導入によってどこに注意をしなければいけないのかを解説しよう。

 懸念されるのは、個人の資産状況をすべて国に把握されるのではないかという点だ。2018年1月からは、銀行預金にマイナンバーを紐付けすることが検討されている。当初は任意だが、21年1月からは義務付けられる予定だ。会社員の場合には、すでに収入のすべてを把握されているから大きな影響ともいえるが、資産家は注意をしておいたほうがよさそうだ。

 マイナンバーの導入により、税務当局は脱税の把握がしやすくなる。とくに狙われているのは名義預金だという。これまでも、相続税の税務調査によって名義預金が発覚するケースは多い。

 たとえば、25事務年度(平成25年7月から平成26年6月まで)に発覚した申告漏れのうち、現金・預金等が約4割を占めている。その多くが名義預金だと考えられる。

 名義預金とは、親や祖父母が勝手に子どもや孫の名義で預金をしている口座のこと。贈与の手続きが行われていないため、相続が発生した時には相続税の対象となる。これまでは、子どもや孫名義の預金をすべて探し出すのは税務当局にも難しく、税金逃れの温床ともなっていた。

 マイナンバーが導入されれば、子どもや孫のマイナンバーを入力するだけで瞬時に口座を洗い出すことができる。今後は名義預金を見つけ出すのが容易になるわけだ。脱税はそもそも法律違反だから問題外だが、実際には贈与なのか名義預金なのかの判断は難しく、グレーゾーンのケースは多い。

 今後は名義預金のチェックが厳しくなることを自覚して、可能性がある場合には、贈与と認められるための証拠をしっかり残しておいたほうがよいだろう。

 なお、自分の個人番号がどのように利用されているかを閲覧できるネットサービス「マイナポータル」が2017年1月からスタートする。いつ、誰が、自分の個人番号にアクセスしたのかを確認できるほか、自分にあった行政サービスを紹介してもらえる「プッシュ型サービス」や自宅のパソコンから行政手続きができる「ワンストップサービス」などが利用できるようになる予定だ。

※マネーポスト2015年秋号

関連キーワード

関連記事

トピックス

劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
佳子さまの「多幸感メイク」驚きの声(2025年11月9日、写真/JMPA)
《最旬の「多幸感メイク」に驚きの声》佳子さま、“ふわふわ清楚ワンピース”の装いでメイクの印象を一変させていた 美容関係者は「この“すっぴん風”はまさに今季のトレンド」と称賛
NEWSポストセブン
ラオスに滞在中の天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《ラオスの民族衣装も》愛子さま、動きやすいパンツスタイルでご視察 現地に寄り添うお気持ちあふれるコーデ
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン