スポーツ

プロ野球ドラフト会議 「隠し玉多いのは日本」と米スカウト

 今週22日にプロ野球ドラフト会議が行われる。甲子園で人気者だったオコエ瑠偉選手がどの球団に何位で指名されるのかなど、興味は尽きない。一方、海の向こうのメジャーではドラフトはどのように行われいるのか。日本となにが違うのか、メジャー球団のスカウトA氏にインタビューした。(取材・文=フリーライター・神田憲行)

 * * *
--メジャーのドラフト会議はいつごろ行われて、何人ぐらい指名されるんですか。

A氏:6月に行われて、1球団当たりだいたい50人くらい指名します。ただその全ての選手が入団するわけではありません。アメリカは4年制大学なら2年生から指名できるので(神田注・日本はできない)、入団交渉がまとまらないとそのまま大学に残る選手もけっこういるんです。だから球団も『ダメモトで指名して交渉してみようか』みたいな指名もあります。指名したほとんどの選手が入団する日本とはそこがまず違いますね。

--アメリカはメジャーだけでなくマイナー球団もあるので、1球団だけでかなりの数が入団するんですね。

A氏:ドラフト指名の選手は全てマイナー契約から始まり、いきなりのメジャー契約はありません。これは最近ルールが変わったところです。

--すると日本のようにルーキーが開幕即1軍みたいな話はない?

A氏:いえ理論上は可能ですよ。マイナーで契約して改めてメジャーに昇格させるとか。ただアメリカはひとりの選手を契約中に3回メジャーからマイナーに落とすと自由契約にしなければならないというルールがあるんです。日本だと1軍と2軍を行ったり来たりするのはよくありますけれど、メジャーはいったん昇格させるとマイナーに落とす判断は簡単ではありません。日本は新人を短期間昇格させて、『若い選手に1軍の空気を経験させる』みたいなことをしますが、アメリカは昇格させた以上は戦力扱いです。

--契約金はどのくらいなんですか。アメリカは高いというイメージです。

A氏:契約金は1位なら数百万ドルに及ぶこともありますが、年俸はドラフト1位と最下位も一律で、日本の育成選手並み(神田注・200万円~300万円程度)です。これもメジャーの統一ルールです。

--日本だと1位選手の年俸が1000万円ぐらい、最下位でも500万円前後でしょうか。そこを統一しているのは面白いですね。スカウトは1球団に何人くらいいるんでしょうか。日本は7、8人ですが。

A氏:アメリカは国土が広いので30人くらいですかね。担当は日本と同じようにテキサス州担当とか、エリアごとです。スカウトの上に、スカウトがドラフト候補に挙げてきた選手をさらにチェックする『クロスチェッカー』という人もいます。

--日本の場合、スカウトは引退した元プロ野球選手がすることがほとんどなんですが、メジャーも同じですか。

A氏:メジャーはプロ野球経験者とは限りません。アメリカではアマチュア担当スカウトというのは、チーム仕事をしていくキャリアのスタートラインみたいな位置なんですよ。年齢は20代前半から30前後までで、給料も安くて仕事はハードです。たとえば遠隔地のゲームをみたあとホテルにも泊まらず飛行機にも乗らず、深夜に自分で車を運転して帰ってきたりとか、安いモーテルに泊まり歩きながら試合観戦を続けていきます。日本のアマ担当スカウトは重要なポジションだし、アマ担当スカウト歴何十年という人もいらっしゃいますが、アメリカでは若くて熱意がある人がまずやる仕事です。

関連記事

トピックス

若手俳優として活躍していた清水尋也(時事通信フォト)
「もしあのまま制作していたら…」俳優・清水尋也が出演していた「Honda高級車CM」が逮捕前にお蔵入り…企業が明かした“制作中止の理由”《大麻所持で執行猶予付き有罪判決》
NEWSポストセブン
「正しい保守のあり方」「政権の右傾化への憂慮」などについて語った前外相。岩屋毅氏
「高市首相は中国の誤解を解くために説明すべき」「右傾化すれば政権を問わずアラートを出す」前外相・岩屋毅氏がピシャリ《“存立危機事態”発言を中学生記者が直撃》
NEWSポストセブン
3児の母となった加藤あい(43)
3児の母となった加藤あいが語る「母親として強くなってきた」 楽観的に子育てを楽しむ姿勢と「好奇心を大切にしてほしい」の思い
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
過去にも”ストーカー殺人未遂”で逮捕されていた谷本将志容疑者(35)。判決文にはその衝撃の犯行内容が記されていた(共同通信)
神戸ストーカー刺殺“金髪メッシュ男” 谷本将志被告が起訴、「娘がいない日常に慣れることはありません」被害者の両親が明かした“癒えぬ悲しみ”
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
木瀬親方
木瀬親方が弟子の暴力問題の「2階級降格」で理事選への出馬が絶望的に 出羽海一門は候補者調整遅れていたが、元大関・栃東の玉ノ井親方が理事の有力候補に
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン