大口のデイトレーダーだけでなく、一般の個人投資家が続々参戦している背景には、何より投資対象が日頃からよく目にする日経平均であることが大きい。
「個人投資家にとって個別株は銘柄選択に手間がかかるが、日経平均が1割上がれば日経レバは2割上がるため、個別株並みのリターンも期待できる。また日経平均は為替に左右されるので、FXのような為替取引をやっている人たちにもなじみやすかった点が人気の理由と見ています」(塩田氏)
とはいえ、決して投資初心者向きではないと指摘するのは、『ETF投資入門』(日経文庫)の著者でインデックス投資アドバイザーのカン・チュンド氏(晋陽FPオフィス代表)だ。
「その日の値動きの2倍ということは下がる時も2倍です。また、その変動率は、複利効果が働き、上げ下げを繰り返すことで本来の価格とかけ離れてしまうため、長く持てば持つほど大きく乖離する傾向があります。
過去10年間の値動きを参考に比較すると、日経平均がプラス66%だったのに対し、日経レバのリターンはプラス53%にすぎず、2倍どころか日経平均も下回ることになる。あくまで短期勝負のためのツールと割り切るべきです」
今年9月時点で日経レバは約200銘柄あるETFの売買代金の7割を占めるほどに膨張している。「他のETFが台頭してこないと市場はいびつなまま発展しかねない」とカン氏が警告するのも無理はない。
それでも日経平均が上昇局面にあるならば魅力的な商品であることは間違いない。ハイリスク・ハイリターンを覚悟しながらチャレンジする価値はありそうだ。
※週刊ポスト2015年11月13日号