◆日本酒が「地方再生」のカギに

 日本酒ブームはこれまで何度か起きている。今回のブームが少し違うのは、「ネクスト5」のような小さな蔵に期待が集まっているということなのかもしれない。

「『新政』の佐藤祐輔が『日本酒はかつて罰ゲームの飲み物だった』というぐらいで、昔は変な混ぜものはあるし、臭いし、イメージが悪かった。でも、ここ10年で団塊ジュニアを中心に若い造り手が酒蔵を継いで、クオリティの高い酒が全国で次々と生まれ始めた。いま、純米酒に力を入れている東北の小さな蔵はみんな伸びていると思う。新しい時代に入ったという感じがします」(前出・小林)

 日本酒の復権は、日本の農業が生き延びることにつながる。すなわち地域が個性を持って蘇るということだ。佐藤が目指す酒蔵を中心とした村づくりにしても、あながち夢物語とは言い切れない。

 日本酒が軸となって地方が動き出す──。「ネクスト5」の酒には、そんな日本の未来を予感させる種が詰まっている。(了)

撮影■今津聡子

※週刊ポスト2015年11月13日号

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