最年長でリーダー格の『ゆきの美人』の小林忠彦(53)の蔵はユニークだ。なんと秋田市内のマンションの1階にある。外からは酒販店の入口のようにしか見えないが、中には酒蔵が隠れている。
「もともと古い蔵があったところにマンションと蔵を別々に建てようとしたんですが、建築基準法で同じ敷地には建てられず、苦肉の策でこの形になった。基本的な酒造りの工程は変わらないですよ」(小林)
設備は機能的で、麹造りや発酵温度の管理は徹底している。『ゆきの美人』の水は、先の『新政』が新しい蔵を建てようと目論む地区の近くの水源からほぼ毎日タンクローリーで運んでくる。
「詳しい場所を教えると汲みに行かれちゃうんで内緒です(笑い)。岩盤を流れてくる湧き水で、ミネラルが少ない。いまは技術があるので発酵しにくい軟水がいい。私自身も好きですね」(同前)