『春霞』を送り出す栗林直章(47)の蔵は、県南に位置する美郷町にある。地下水が豊富なこの地域にはかつて造り酒屋が20軒ほどあったが、現在は3軒に減った。
「ここの地下水は軟らかく発酵がゆっくりになる。ミネラルが少なく、口触りも甘い。それがウチの酒のベースです」(栗林)
栗林が本格的に酒造りに参加したのは7年前。それまではベテラン杜氏が代々担っていた。
「他の4蔵に比べると大きくがらっと変えてはいないんです。ただ、毎年少しずつ自分なりに改良して、結果的に以前の杜氏が造っていた酒とは相当違ったものになっている。『ネクスト5』の中で出てくるヒントやアイディアも刺激になっています」(同前)