国内

地球深部探査船「ちきゅう」 前人未到のマントル調査が目標

海底を掘削して調査する地球深部探査船「ちきゅう」

 JAMSTEC(ジャムステック=国立研究開発法人海洋研究開発機構)は、1971年に設立された「海と地球の研究所」である。約700人の研究者・技術開発者が、昼夜を問わず深海など地球最深部の調査研究に挑み続けている。

 JAMSTECが保有する世界トップレベルの地球深部探査船が「ちきゅう」だ。2005年に総工費593億円をかけて建造された。その威容は、見る者を圧倒する。全長は新幹線約8両分にあたる210メートル、全幅は38メートルもある。そして、船底から櫓の頂上までの高さは30階建て高層ビルに相当する130メートルだ。

 JAMSTECは計8隻の研究船を運用しているが、他の7隻が海洋や深海底を調査対象としているのに対し、「ちきゅう」はさらに奥底の「海底下」の調査研究を目的としている。そのため石油掘削に使われる「ライザー掘削技術」を科学研究に初めて導入した。この技術によって、高圧の海底下でも掘った穴を崩すことなく作業できるのだ。

 船体後部には長さ9.5メートルのドリルパイプが常時1000本以上格納されており、それを船体中央にそびえる櫓から吊り降ろしながら1本につなげていくことで海底下7000メートルまでの掘削を可能にしている。

 パイプの先端部には海底下の地層サンプル「コア」を採取する装置が付けられ、引き上げられると4層からなる船内の研究区域ですぐさまコアが徹底的に調査される。コアの状態が変化しないうちに成分や微生物の調査を行なうことが肝要だからだ。

 高度な研究が可能な科学機器類が揃うフロアは、まさに「海上ラボ」。研究員たちは12時間交代で勤務し、24時間態勢で研究が続けられる。

関連記事

トピックス

球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン