■「明るく楽しく元気よく」が日曜の空気感とマッチか
そこで、日曜放送の人気番組の持つ特性に目を向けてみた。
「『のど自慢』のモットーは、司会の小田切千アナウンサーが毎回冒頭で言っているように『明るく楽しく元気よく』です。『サザエさん』は『新・調査情報』(2004年5-6月号 No47)によると、『明るく楽しく愉快になる』が制作する上で大切にしていることだそうです」(前出の内堀氏)
『笑点』はタイトル通り、とにかく明るく笑い飛ばす内容が売り。また、『噂の!東京マガジン』の人気コーナーで、巷の社会問題をレポートする『噂の現場』も深刻になりすぎず、ほのぼのと、時にユーモアをまじえて報告することもある。
「『誰だって波瀾爆笑』のコンセプトは『ゲストの魅力と人生を爆笑を交えて楽しく紹介する“ファミリー感”たっぷりのトークバラエティ』です。時折ゲストによって出る病気や死といったつらい話も、悲しいままではなく、むしろそれを乗り越えて、それを受け入れて今があるというように、前を向いて話していただくスタンスをとっています」(同)
これらの番組から導き出される共通項は「明るい」「ほのぼの」「笑いがある」「家族で楽しめる」といったものだが、考えてみるとそれらはすべて、日曜日という“曜日が持つ気分”にあてはまるのではないだろうか。
NHK放送文化研究所が2006年、『曜日に関する意識』を調査したことがある。その中で“日曜日の気分”について多かった回答が、『束縛から解放されたような気分』や『誰かと一緒に過ごしたい気分』『明日のために力をとっておきたい気分』といったものだった。
「以前、『平成日本のよふけ』と言う、各界の著名人が出演する硬派なトーク番組をお手伝していたことがあります。これは深夜での放送が好評だったためさらに多くの方に見ていただけるよう日曜のお昼に昇格したのですが、思ったように視聴率がふるわず、タイトルを変えて深夜帯に戻りました。良質なソフトでも、番組の性格、表情が日曜の気分にそぐわないと難しいのかもしれません」(同氏)
ほのぼのできて、みんなで楽しみたい、さらに明日に向けて元気をもらいたい、そんな視聴者の日曜の気分にフィットさせた番組が長く続いていると言えそうだ。