”CASSHERN』批判”についても語った
紀里谷:監督に向いていないし、もう辞めようと思い詰めていました。ちょうど撮影時の休憩中でボーッとしていた時です。インタビューを終えたモーガンがトコトコトコと歩み寄って来て、「ちょっといいか」といきなり話しかけてきた。それで、「君は監督をしていて大丈夫だから。全然問題ない」と言ってくれたんです。すごくうれしかったですよ。「モーガンがそう言ってくれるなら、映画監督をやっていいのかな」と思えた。救われました。
――モーガンに言われたという「Listen」とはどういう意味だったんですか?
紀里谷:その時、彼に「まだ映画を3作しか撮ったことがありません。もっといい映画監督になるにはどうすればいいんですか」と聞いたんです。そうしたら、「Listen」と。映画監督が撮影時に何をもってオッケーと言い、何をもって撮り直すかというと、きわめて監督の主観です。監督であるぼくに何かが伝わってきた時にオッケーを出す。だからモーガンは、(俳優の芝居に)違和感がある、伝わってこない時には、自分の声を聞いてほしいということを「Listen」という言葉で表現してくれたのではないかとぼくなりに解釈しています。
――大変失礼ながら、監督第一作『CASSHERN』(2004年)の評判が良くなかったので、正直、紀里谷さんは1作で終わったな、と思っていました。それが、『GOEMON』、そして、『ラスト・ナイツ』でハリウッドデビューとは驚きました。
紀里谷:『CASSHERN』は観ていないのに批判する人が多かったんですよ。周りに聞いてみてください。『しくじり先生』(テレビ朝日系)でも言ったんですが、批評にしても、みんな誰かが言っていることを繰り返しているだけなんです。ぼくと話した初対面の人は100%、「紀里谷さんってこういう人だったんですね」と言います。「あまり話さない人かと思った」とか、「クールな人だと思ってた」とか、「冗談を言わない人だと思っていた」とか。不思議ですよね。会ってもいないのにそういうイメージが植えつけられていく。それに近いことが『CASSHERN』でも起こったと思っています。
――『しくじり先生』に出演されたことは、ネットではかなり話題になりました。『CASSHERN』では、紀里谷VS日本映画界のような話もありました。