この数字だけでは、多いのか少ないのかよくわからないのでわかりやすくいうと、これはスマホを始終いじっている人であれば、1日もかからずに使い切ってしまうデータ量だ。ネットで動画を見たら約30分で120メガバイトになる。
問題はここからだ。本来、使ったデータ量が多い人ほど高い料金を支払うのが当然だ。しかし、スマホ中毒の人物もAさんも「同じ料金」を払わされているのだ。
大手携帯会社はスマホの契約者に対して、「●●バイトの通信量までは一律××円」という定額プランを用意している。それ以外の「使った分だけ払う」というやり方は原則、できない。「定額で使い放題」という謳い文句で宣伝されると得したような気分になるが、ここにカラクリがある。
大手携帯3社のスマホ料金は横並びで、基本的には最も安いものでも、「2ギガ(=2000メガ)まで使い放題」というプランしか用意していない(月額6500円、基本料等含む)。
2ギガという枠はAさんがメールとネット閲覧で使っているデータ量の「16か月分」にもなる。
「スマホの場合、本人が使ったつもりがなくても、ニュース通知やアプリの更新などが自動で行なわれたりするため、実際にはほとんど機能を使わなくても月に0.5ギガほどの通信量にはなることは充分あるが、その程度のライトユーザー向けの料金プランがない」(情報総合通信研究所の岸田重行・ICT基盤研究部第二グループ上席主任研究員)
要はAさんのような人は膨大な量の利用枠を押し付けられ、ほとんど使ってもいない分のカネを払わされているということになる。
※週刊ポスト2015年11月27日・12月4日号