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中国大物経済学者「成長率5%でも上出来」 実態それ以下か

 中国共産党政権は10月の党中央委員会総会で、第13次経済5カ年計画(2016~2020年)期間中の年間の経済成長率目標を6.5%に定めたが、中国の経済界の大御所である励以寧・元北京大学教授は「5%でも上出来だ」と発言し、実体経済は5%以下であることを示唆した。

 また、党の最高財政政策決定機関である党中央財政経済指導小組(グループ)の楊偉民・同弁公室副主任も「6.5%はあくまでも推定の経済成長率であり、目標の最低ラインではない」と発言しており、事実上の下方修正を行った。北京紙「新京報」が報じた。

 励以寧氏は北京大学経済学部の教授時代に、現在の李克強首相や李源潮・国家副主席(党政治局員)の論文作成の指導教官となっており、いまでも中国政府の経済政策立案に大きな影響力を及ぼしているだけに、その発言は多分に中国政府中枢の考え方に近いとされる。

 問題の「5%」発言は10月下旬、北京で行なわれた北京国際金融博覧会で行なわれた励以寧氏の講演で飛び出した。

 励氏は人類の経済発展について、第1段階は農業などの第1次産業の発展、第2は第2次産業発展の工業化の段階で、この段階が最も経済成長率が高くなると分析した。

 そのうえで、励氏は「現在は第3次産業がGDP(国内総生産)の半分を占めていることから、第2段階に比べて成長率は低くならざるを得ず、5%でも上出来だ」と強調。「いや、2%、あるいは3%でもおかしくない。これは日本や米国などの先進国の第3次産業の比率は60から70%に達しており、これらの国々の現在の状況をみれば、よく分かる」と指摘した。

 この発言を裏付けるように、前出の楊副主任も11月上旬、北京で記者会見を開き、第13次5カ年計画の経済成長率について、李克強首相が「6.5%」の数字を挙げたことについて、「これはあくまでも経済予測上の数字であり、経済成長率目標の最低ラインではない」と述べて、今後5年間の年間経済成長率について6.5%を目標とするものでないとくぎを刺した。

 李首相が発表した数字にこだわらないとの考え方を示したことについて、経済専門家は「極めて異例」との見方を示したうえで、「それだけ李首相の権威が下がっていることを示すもの」との見解を明らかにしている。

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