『大阪のおばちゃん』というと、思い浮かぶイメージがいくつかある。
常に“飴ちゃん”を持ち歩き、友人や電車で隣り合わせた見知らぬ他人にも気軽に分け与え、アニマル柄の派手な服を好み、2人集まれば自然とボケとツッコミの会話が成り立つ。店では1円でも安く値切ろうとし、さらに安く購入した商品を自慢する、などなど。
他県のそれと比べ、“大阪のおばちゃん”はテレビでもコーナーとして成り立つなど、全国的にお茶の間での人気を誇る。それはなぜか。“大阪のおばちゃん”は、ブランドだとする大阪研究家の前垣和義さんは魅力についてこう語る。
「“おばちゃん”というと、強いイメージを受けますが、そこに『大阪の』が付くと最強になる。テレビなどメディアで映し出される“大阪のおばちゃん”は、強引に値切ったり、街角で配るティッシュを全部もらったりなど、一面を誇張しているからでしょう。実際は“他人を楽しませて自分も楽しむ”という、温かい心情が根底にあり、それが見る人の心をつかむのです」(前垣さん。以下「」内同)
値切りもコミュニケーションで、“たくさん買うから少しまけて”と、双方が笑顔になれる範囲で値切る人がほとんど。「自分だけが得をしようという考えのおばちゃんはあまりいません」と前垣さん。
その心情のルーツは、江戸時代、大阪が商人の町として発展した点にあるという。儲けるためには、お客さんに喜んでもらわなくてはならない。大きな声でアピールし、言葉で笑いを誘い、楽しい気持ちで商品を買ってもらうのだ。
「派手な服を好むのも、商人魂がルーツ。まずは自分を見てもらい、そこから会話が始まります。大阪はコミュニケーションが独自の発展を遂げ、今のおばちゃんを作り上げたのです」
※女性セブン2015年12月10日号