国内

時間指定や再配達で負担増 ミスし自腹で別業者に頼むケースも

 クリスマスから年始にかけて楽しいイベントが続く反面、お歳暮、クリスマスプレゼントやケーキ、おせちや正月飾りの配送と、運送業界は超繁忙期を迎える。

 それに加え、全国11万人超のセールスドライバーを困らせている要因のひとつが時間指定だと、ヤマト運輸、佐川急便などに“潜入取材”し、その実態をまとめた『仁義なき宅配 ヤマトVS佐川VS日本郵便VSアマゾン』(小学館刊)の著者で、ジャーナリストの横田増生さんが明かす。

「時間指定があると、配達の動線が崩れます。集配所をスタートして効率よく最短経路で回れるルートがあっても、12時のAさんが先、15時のBさんはその後、となると、ルートは崩れます。行ったり来たりした結果、運送距離は最短経路の何倍にもなってしまう」(横田さん)

 横田さんは取材中、配達トラックの助手席に乗っていたある日、11時半過ぎに30分ほど時間をつぶしたことがあった。

「ドライバーに理由を聞いたんです。そしたら、次に配達するお宅の指定時間が12時だって。“12~14時指定なので、早めに行くとクレームになることもある”と言うんです。そこまで時間に厳しいのかと、驚きました」(横田さん)

 そう、“時間指定”は、時間に遅れても、早すぎてもいけない。10月には北海道で、“指定した時刻に宅配便が配達されない”と、配達員の男性の頭をバリカンで丸刈りにさせたとして58才の男性が逮捕される事件も起こった。時間通りに配達しても、不在ということは少なくない。いったん持ち帰って配達する。

 その不在率は、「正式に公表されていませんが、全体の15~20%といわれています」(横田さん)と言うように、いくら配達員が時間を守っても5回に1回は報われていないことになる。

 国土交通省の報告によると、この再配達には、1年間で配達員約9万人分、およそ1.8億時間の労力が使われているという。環境への負担も大きく、トラックのCO2排出量は約42万t。再配達を削減するなど問題解決に向けての動きもある。

 そんななか、不在と再配達に頭を抱えている“お届け物”はマイナンバー通知カードだ。

 全国5684万世帯に配達する任を負う日本郵便は頭を抱えている。というのも、10月1日から導入されたこの制度、配達率は11月18日時点で約25%。当初は11月中に配達完了する予定だったが、まだ配達は続いている。受取人のサインが必要な簡易書留のため、受取人不在で郵便局の保管期限が過ぎたり、転居したりしていると配達できないのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン