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中国でプロパガンダ氾濫 文革の紅衛兵世代実権握ったためか

湖北省武漢市内の共産党公園に鎮座するアニメ人形調の紅軍兵士

 中国湖北省の武漢市に中国共産党のテーマパーク(コンセプト公園)がオープンし、連日賑わいを見せている。党と中国との歴史を遊びながら学べるとの触れ込みだが、実はこうした庶民の日常の「政治化」は中国全土で進行中である。小学校に、巨大な宣伝看板が出されたり、大学などでも政権を賛美する展示がなされたりしているという。ノンフィクションライター・安田峰俊氏がレポートする。

 * * *
「共産党公園の登場や、国内にプロパガンダが溢れる現象の一因として、まず中国の官僚気質が指摘できます」

 現在タイに亡命中の中国人民主活動家・顔伯鈞氏は、一連の背景をこう説明する。彼は習近平が学長を務めた党の最高教育機関・中央党校を修了。共産党エリートとして養成された経歴を持つ人物だ。

 昨今の現象は、党幹部らが政権の意向を過剰に忖度して引き起こした面もあるという。

「例えば、近年中国では人権派弁護士が100人単位で拘束されましたが、習近平自身の意向は『少し脅しておけ』という程度かもしれない。しかし、末端の幹部は出世の点数稼ぎを目的に、目立った成果を挙げることを好みます。現在の過剰なプロパガンダの蔓延にも、同様の構図があることでしょう」

 もっとも顔氏は、真の要因は別に存在すると話す。

「習近平時代に入り、社会の決定権を握る人間の多くが、文革の主人公だった紅衛兵世代に代替わりしました。文革は毛沢東が個人崇拝と大衆扇動的なプロパガンダを通じて起こした政治運動。多感な十代でこれを味わった彼らには、毛沢東式の手法こそが『政治』の本質だ、とする観念が刷り込まれています」

 考えてみれば、子どもの「洗脳」や文化施設へのプロパガンダを重視する政策とは、まさに文字通りの「文化大革命」ではないか。

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