■『風が強く吹いている』(2009年/日本)
原作は、直木賞作家・三浦しをんの大ヒット小説。小出恵介、林遣都らが演じる弱小陸上部のメンバーが、箱根駅伝に挑む姿を描く感動作。
「箱根駅伝に至るまでの水面下の部分をきちっと描いている上に、もちろん勝負ではあるけれど、勝ち負けよりも大切なものがあるという本質を見せてくれる。葛藤あり、家族との関わりがあり、駅伝に興味がない人をも引きこむ人間ドラマがある。映画を観てほとんど泣くことのない僕ですが、この映画では必ず泣いてしまいます。箱根駅伝の前に観ると俄然、面白く観られますし、新しい一年を前向きに生きる意欲がわいてきます」
■『エンド・オブ・ザ・ワールド』(2012年/アメリカ)
小惑星の接近により滅亡が決定的となった地球。妻に逃げられた主人公の中年サラリーマン(スティーヴ・カレル)が、同じマンションに暮らす女性(キーラ・ナイトレイ)の母国イギリスへの帰郷を手助けし、一緒に旅をするロードムービー。
「地球滅亡までの残された数日をどう生きるかがテーマとなっています。主人公の男性は奥さんには逃げられ、父親との確執など問題を抱えていますが、その中で本当に大切にしなければならないことに気づいていく。人生の終わりが目前に迫ることで、本当に大切なものに気づくことが幸せなのだとわかる映画です。自分の身のまわりを見つめ直して、来年をどう生きるか、何を大切にすべきかを考えるこの時期にぴったりだと思います」
■『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』(2013年/イギリス)
タイムトラベルの能力を持つ家系に生まれた青年(ドーナル・グリーソン)が、自分や家族の人生を幸せにするためにタイムトラベルを繰り返すうちに、本当の愛や幸せとは何かに気づくヒューマンドラマ。
「主人公の青年は、タイムトラベルを経験することで、いちばん大切なことは“今日をちゃんと生きること”であると気づく。僕たちは現実世界でタイムトラベルはできないけれども、毎日を丁寧に生きることで、同じように人生を変えることはできるということに気づかされます。生き方に迷っている時、指針となる映画だと思います」
続いては、世界規模で人の衝突の絶えない先行き不透明なこの時代、自分の身のまわりだけではなく、世界のことを考えていくきっかけとして観ておきたい1作をご紹介。